7*憧れのヒロインと王子様 ページ7
山田美咲。佐倉ちゃんと同期。
入社した当初から、彼女は仕事に夢中だった。
あまりに仕事熱心で周りが見えておらず、同期からは少し遠ざけられていたように思える。
お偉いさんに褒められてもなお、彼女は嬉しそうな顔もせず黙々と仕事を進めていた。
クールな彼女に私は少なからず興味を持ち始めていた。
珍しい人間にはぐいぐい行きたい。
だからこそ、うざがられても全然気にせず話しかけに行った。
何度も何度も、しつこいほどに。
「物好きだなぁ」とも言われたが、間違いじゃないと思う。
そんなある日。
「私と話していて大丈夫なわけ？」
「へ？」
「貴方周りから変な目で見られてるわよ」
「あーね。そりゃあ馬鹿みたいにうるさいからなぁ。仕事もぶっちゃけ出来ないし」
あははって佐倉ちゃんの肩を軽く叩きながら笑うと、すごく怪訝な顔をされた。
いや何もそんな顔しなくてもいいじゃんと凹んだ。
そんな私を見て彼女は、予想もしなかった言葉を口にした。
「私といるから、周りが変な目で見てるんじゃない。私が言われてるのは構わないけど、貴方は何も関係ないじゃない。なのにそう思われるだから、私と話さないほうがいいんじゃないの」
彼女の言葉は一見冷たく捉えられるが、本当は心優しいのだ。
だって、自分のことより私の心配するんだもの。
佐倉ちゃんはぷいっとそっぽ向いて、缶コーヒーを口にした。
少し無理しているように見える横顔を見て、ありがとと呟いて前を向いた。
これは何年前だったっけな。
そんな仕事一途で恋愛に興味なさそうな彼女に、最近変化が起きた。
「先輩おはようございます」
礼儀正しく挨拶をするのは最近入社してきた、イケメンで優しいと噂の男、赤坂柚希。
新人だというのに持ち前のコミュニケーション能力と、対話術で皆のハートを鷲掴み。
女子たちの目がキラキラで、最近かわいい子が増えてるのは彼のせいだろう。
そんな彼に佐倉ちゃんは最初は無関心だった。
だけど私はすぐにわかってしまった、彼は佐倉ちゃんにベタ惚れだということを。
怖がられてきた佐倉ちゃんを見てくれる相手が出来たことに、私は大層喜んだ。
しかし、
「私は狙っちゃおうかな」
なんて言っても、
「いいんじゃないの？」
と全く揺るがない。
彼のアピールをスルーしすぎてませんかね。
まぁしばらく様子を見ますか。
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ルリアイス(プロフ) - 夢魔さん» ありがとうございます！これからも頑張ります！ (2020年1月11日 0時) (
レス) id: 0fcb288ad8 (このIDを非表示/違反報告)
夢魔 - 凄く面白かったです！ これからも応援してます！！ (2020年1月10日 23時) (レス) id: f6b046dcfc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ルリ☆アイス | 作成日時：2019年10月28日 22時
