胃薬が七錠 ページ10
とある日の昼下がり。
事件は唐突に起こった。
「よもや!面白い事もあるものだな!」
「…血鬼術か?」
「(やだ!きゅんきゅんしちゃう…!)」
「あぁ…可哀想に…幼子の姿にされてなんと哀れな事か…南無阿弥陀仏…南無阿弥陀仏…」
「ハハハッ!こりゃまた派手な事が起きたな!」
「皆さん近付き過ぎです。Aさ…Aちゃんが怖がっていますよ」
「…へぇ、面白いね。…と言うかなんで今言い直したの?」
「なんとなくです」
「なんだァ?随分と珍妙な格好してんなァA」
「これだから油断をするなと言ったのだ。子供の姿にされてしまうとは注意不足にも程がある。大体此奴は危機感が無さすぎる。一度身体に教えてやるべきだ」
「伊黒さん、ネチネチ煩いですよ」
柱が大集合し、その真ん中に居るのは…
『あの…?どちらさまですか…?』
原因は不明だが、子供の姿にされてしまったA。
どうやら記憶も無いらしく、かなりアクの強い柱達の見た目にかなり怯えている様子だった。
『ふ、ぅぅぅ…っ、おうち、かえりたいです…ぅ』
ぽろぽろと大粒の涙を零して、遂には泣き始めてしまった。
『ぅぅぅ''〜…っ』
「よ、よもや!泣き始めてしまったぞ!」
「…どうしたらいいんだ…?」
「不死川、お前の顔にビビったんじゃないか?」
「えっ…」
「子供と言う生き物は実に面倒だな。直ぐに泣き始めたかと思えば何をしたいのかすら言わない。全く手の焼ける生き物だ」
「伊黒さん、冷や汗凄いですよ」
わたわたと焦り始める柱達。
普段の寡黙で近づき難い雰囲気など全く無く、Aをあやそうと必死に案を出し合う。
すると
「…ほら、A。これあげる」
『…?つる…?』
少しの間黙っていた無一郎が、一羽の折り鶴をAに手渡した。
「良かったら僕の部屋で一緒に折ろうか。教えてあげるよ」
『…!はい!』
「…あ、僕の事は''無一郎兄様''って呼んでね」
「おい何を教え込む気だ未成年」
「一番歳下なのに一番危ない匂いがする」
後方から聞こえてくる言葉を無視し、無一郎はAの手を引き歩き出す。
『無一郎兄様、は…お優しいんですね!』
「そうだよ。今度からは僕だけを見て僕だけを頼ってね。それ以外いらないんだからね」
『?』
幾ら幼子でもAはA。
対応はいつも通りの病み対応である。
鬼殺隊柱最年少恐るべし。
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ぷりっつ - 夢主ちゃんのスカートが膝より高い. ..ゲスメガネ呼んでこよう...チャキッ← (2021年5月9日 2時) (レス) id: 8a7ce8997d (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - 絵に一目惚れしました……!!面白い!すごい!!! (2019年11月25日 21時) (レス) id: 4b6840f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
ガコ - この小説、すごく面白いですね! あと、33の時、すごくカゲロウテイズっていう歌に似ていますね! (2019年11月25日 0時) (レス) id: 8244513a71 (このIDを非表示/違反報告)
もやし好きのもやし(プロフ) - コメントありがとうございます!素晴らしい作品だなんて勿体無いお言葉です…!続編もよろしくお願いいたします!! (2019年10月5日 8時) (レス) id: 6a4e808260 (このIDを非表示/違反報告)
緩莓 - 本当に最高です!!!こんなに素晴らしい作品に出会えて光栄です(´;ω;`)更新お疲れ様です!続編も読みます!これからも頑張ってくださいね! (2019年10月5日 7時) (レス) id: 6806c82317 (このIDを非表示/違反報告)
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