胃薬が三十四錠 ページ45
〜引き続き暗めのお話です。暗いお話ラッシュで申し訳ないです。時系列は胃薬が二十一錠、二十二錠のその後のお話です。煉獄さんは生きてます。ちょっと長いかも?〜
「十二鬼月の上弦に、Aがいるとの情報が入った」
突然集められた柱達は、その言葉に息を飲んだ。
鬼舞辻達と共に消え去ったあの日以来、Aが再び鬼殺隊に姿を表す事など無かった。
【ごめんなさい】
最後に聞いた言葉が、全員の頭にこびりついて離れなかった。
「それ、は…一体」
「…私も信じたくは無いよ。でもAを見たのは鬼殺隊の隊士だ。見間違える訳がない」
それは、収集をかけられる前日の夜。
見事なまでの満月が浮かぶ街中を警備がてら歩いていた一般隊士が、十二鬼月と思われる鬼と共に民家の屋根の上を走って行くのを見たらしい。
その時に目が合い、彼は彼女の瞳に数字が刻まれているのをはっきりと視認した。
上弦の零。
その数字が、全てを物語っていた。
「…鬼に堕ちてしまうとは何とも哀れな…南無阿弥陀仏…」
「人を喰ったかどうかは分からない。だが、例え今は喰っていなかったとしても、これから人を襲う可能性だってある。その前に…」
「…派手にアイツの命を狩る」
元鬼殺隊隊士…その上、鬼化した柱など並大抵の隊士が倒せる様なものではない。
柱が総出で戦って、勝てるかどうか。
殆どの者は知らないが、Aの剣の技術は鬼殺隊の中でもトップクラス。
言わば未知数の力を秘めた存在。
圧倒的な戦況把握能力と、剣の技術。
それに加えて鬼の力。
勝てるかどうかは、運にかかっている。
「君達に頼むのは少々心苦しい。それでも…やってくれるかい?」
「うむ!必ずや、Aが完全に人で無くなる前に俺達が頸を斬ってみせましょう!」
「…ありがとう。では」
_________私の剣士…いや、''元''剣士のAを頼んだよ。
夜風が吹く街中に、一人の少女が立っていた。
風に靡く頭髪を揺らし、自身の背後を振り返る。
『…あぁ…こんばんは。義勇さん』
「…今のお前はAでは無い。ただの鬼だ。お前の意思、命は…俺達が貰い受ける」
『柱の皆さんと本気で斬り合う日が来るとは…思ってもいませんでしたよ』
互いに刀を抜き、日輪刀の刃が月光を受けて光る。
月が薄い雲で隠れた途端。
__________二人の姿が消える。
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ぷりっつ - 夢主ちゃんのスカートが膝より高い. ..ゲスメガネ呼んでこよう...チャキッ← (2021年5月9日 2時) (レス) id: 8a7ce8997d (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - 絵に一目惚れしました……!!面白い!すごい!!! (2019年11月25日 21時) (レス) id: 4b6840f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
ガコ - この小説、すごく面白いですね! あと、33の時、すごくカゲロウテイズっていう歌に似ていますね! (2019年11月25日 0時) (レス) id: 8244513a71 (このIDを非表示/違反報告)
もやし好きのもやし(プロフ) - コメントありがとうございます!素晴らしい作品だなんて勿体無いお言葉です…!続編もよろしくお願いいたします!! (2019年10月5日 8時) (レス) id: 6a4e808260 (このIDを非表示/違反報告)
緩莓 - 本当に最高です!!!こんなに素晴らしい作品に出会えて光栄です(´;ω;`)更新お疲れ様です!続編も読みます!これからも頑張ってくださいね! (2019年10月5日 7時) (レス) id: 6806c82317 (このIDを非表示/違反報告)
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