胃薬が二十錠 ページ25
二人の戦いが終わるとほぼ同時に、鬼殺隊が到着した。
かつては村人達が住んでいたであろう家屋は、そこかしこに斬り傷が入り。
幾つもの血痕と、攫われた者達の着物が寂しく遺されていた。
そして、その村の中心に小さな影が一つ。
「見つけました!村の中心に____」
隠の一人がそう叫ぶと、背後に控えていた数人の剣士達が駆け出す。
「Aさん!Aさんッ!起きて下さい!!」
いつもは大声を出す事のないしのぶが、声を張り上げてAに問いかける。
聞こえて来るのは、今にも途切れそうな程か細い呼吸音。
薄っすらと開いている右目には、涙が溜まっていた。
『…ぁ…ぁ…これは、ゆめで、しょう…か…?』
「夢なんかじゃありません!意識を保って下さい!」
しのぶの言葉に、Aは薄く笑って手を伸ばす。
斬り傷だらけの右腕と、既に動かない左腕。
そして潰れた左目と切り裂かれた脇腹。
美しくも、痛々しくAを染め上げる緋色の血。
「なに…ッ派手に無茶してんだよ!」
「お願いだ。その目を閉じないでくれ…俺は…」
「Aちゃん…ッ!お願いだから死なないで…!!」
「生きて帰るって約束でしょ…?勝手に死んだら、許さないから…っ」
「おい起きろォ。まだ…寝る時間じゃねェぞ…」
「……。」
「勝手に眠るなど俺が許さないぞ。寧ろ眠られては困る」
「あぁ…まだ、生きている…」
「今すぐに応急処置をします!だから…耐えて…!」
皆の声に応えるように、優しい笑みをこぼすが徐々にその目は閉じて行く。
「ぁ…ッやだ!Aちゃん!!やめて…!」
『なかない、で…くだ…さぃ…みつりさ…』
ごぽっ、と口から赤黒い血を溢れさせ
『す、こし…ねむぃ…な…ぁ』
ゆっくりと意識を手放した。
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ぷりっつ - 夢主ちゃんのスカートが膝より高い. ..ゲスメガネ呼んでこよう...チャキッ← (2021年5月9日 2時) (レス) id: 8a7ce8997d (このIDを非表示/違反報告)
たまご(プロフ) - 絵に一目惚れしました……!!面白い!すごい!!! (2019年11月25日 21時) (レス) id: 4b6840f9b9 (このIDを非表示/違反報告)
ガコ - この小説、すごく面白いですね! あと、33の時、すごくカゲロウテイズっていう歌に似ていますね! (2019年11月25日 0時) (レス) id: 8244513a71 (このIDを非表示/違反報告)
もやし好きのもやし(プロフ) - コメントありがとうございます!素晴らしい作品だなんて勿体無いお言葉です…!続編もよろしくお願いいたします!! (2019年10月5日 8時) (レス) id: 6a4e808260 (このIDを非表示/違反報告)
緩莓 - 本当に最高です!!!こんなに素晴らしい作品に出会えて光栄です(´;ω;`)更新お疲れ様です!続編も読みます!これからも頑張ってくださいね! (2019年10月5日 7時) (レス) id: 6806c82317 (このIDを非表示/違反報告)
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