転校先に婚約者がいるんだが【 桃 】

宮と眼鏡 ページ8

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「あれ、眼鏡？」


「そうなの、


昨日はコンタクトで頑張ったんだけど…普段は眼鏡」


「そうなの？でもめっちゃ似合うね」


「本当？ありがとう〜」


早速つけてみたのだけれど。


ごめんなさい、コンタクトなんてしたことありません。


嘘をついてしまうのは何だか心苦しいが、自分の学校生活がかかっているのでやむを得ず。


「良いなあ、わたしも眼鏡つけてみたいんだよね…」


「あんた目悪くないじゃん」


「つけてみたい！だからね」


と私の眼鏡に反応してみんな眼鏡のことを話し始める。


まあ、残念イケメンにバレなければ良いだけの話だ。


転校生って実は眼鏡かけてるらしいよ、なんて隣のクラスに流れてくれれば


橘 A(私)は眼鏡をかけていないし、眼鏡のおかげで顔はよくは見えないので


残念イケメンは多分、気にも留めなくなるだろう。


やっぱり伊達眼鏡にして正解。


自分で自分の判断を褒めたい気分だ。








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次の授業は移動教室だったので、必要なものを持ち教室を出る。


「あ」


運が良いのか悪いのかは分からないが、向かいからあの残念イケメンが来ていた。


いや、見れば見るほどあの婚約者に似ていて。


眼鏡かけてても不安だなあ…と思ったので少しうつ向く。




すれ違う。




どうやら向こうは私に気がつかなかったらしく、隣の友達と楽しそうに話しながら通り過ぎた。


私、薫と眼鏡に今すぐお礼を言いたい。


感無量。


眼鏡は必須だな、と小さくガッツポーズをしながら心の中で思った。


なんてことをしていると、みんな先に行ってしまい、完全においてけぼりだ。


すぐ追い付く為に、小走りで追いかけた。




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