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宮と寝癖 ページ21

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「そろそろ帰る?」


「さとみさんに任せます」


「え〜?」


と何か悪巧みでも考えているような顔を向けてくる。


「…やっぱり大丈夫です…」


「何で!!」


その文句はどうぞご自身に言ってください。


やれやれといったところである。


そんな婚約者を見ていると、目に留まるものがあった。


「…寝癖」


「え」


「寝癖があります」


婚約者にこんなことを言うのも変だなあとは思うが。


ひょこっと飛び出ているそれ(寝癖)はなんとも可愛いものだった。


「どこ?」


「鏡貸しますよ」


と言って鏡を出すと、手でそれを返される。


「別に大丈夫、Aだし」


「…何ですかそれ」


と言うと、特別だから?と返される。


答えになっているような、なっていないような…。


「寝癖あっても良いでしょ?」


「良いんですか?」


「…良い!」


と私の質問に少し間を開けながらも断言した。




「何読んでたの?」


「…近代文学ですかね」


「へえ…」


と興味がなさそうではあるが。


「(でも桃城家の長男なのか…)」


と婚約者に対して失礼なことを思う。








そういえば…と私がさとみさんに言う。


「さとみさん、授業受けなかったんですか?」


「あー…みたい」


確証はないようだけれど、本人が言うなら本当だろう。


学校を出て、少し薄暗い道を歩く。


少し後ろを歩いていると、ぴょこぴょこと婚約者の寝癖が跳ねていて、少し笑いそうになってしまう。


それをなんとか咳払いで誤魔化し、後を着いて行った。


「ま、寝てても大丈夫だよ」


「どうしてですか?」


「…今やってる授業、とっくに知ってる」


と何か満足そうな顔で言ってくる。


これがよくクラスで耳にする「ドヤ顔」というものだろうか。


「何だかイラッときますね」


「えっ」


「…冗談ですよ」


今度は誤魔化さずに笑った。




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るり(プロフ) - 今日ほんとに見返してたところの更新だったので嬉しかったです泣 この先のお話とかめちゃくちゃ妄想してるので、いつかお話になるの楽しみにしながらこれからも見返そうと思います! (2021年1月14日 0時) (レス) id: 1011553aa4 (このIDを非表示/違反報告)
月雫 runa - 完結おめでとうございます!! 最初から最後まで楽しめました! (2020年3月22日 12時) (レス) id: 7dc9d510f6 (このIDを非表示/違反報告)
おとは(プロフ) - はじめまして!スゴくよかったです(*^_^*) (2020年3月18日 7時) (レス) id: 083a813a8f (このIDを非表示/違反報告)
さくり@歌リス(プロフ) - ヤバい!最高でした(@_@) (2020年3月16日 22時) (レス) id: 0cd51e6ec6 (このIDを非表示/違反報告)
響(おと) - すき。 (2020年3月16日 11時) (レス) id: e976740a08 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:田鈴 | 作成日時:2020年1月2日 17時

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