近くて遠い3 ページ43
安室は仕事ではなく、A自身の事を話してほしいと言う。
こんな働くことが趣味と言ってもいい人間の話しをして何が面白い?
意味が分からん。
ものすごく変な顔をしているだろうAの顔をみて、盛大なため息を吐く安室さん。
ため息をつきたいのはこちらなんだが?
仕事は既に終わっているからか、仕事モードオフにしているAは些か態度が悪い。
ものすごいジト目で安室を見ている。
すると頬に暖かい何かが触れたので《ビクッ》と思わずのけぞってしまった。
その正体は褐色の安室の手。ずっと安室の顔を見ていたので手の動きには気づかなかったようだ。
逃げられた事に驚くも少し悲しい表情を浮かべる安室は、捨てられた子犬の様だ。
――何これ?めっちゃ可愛い。ホントに29歳か?そこら辺の女より断然かわいい!
心の中で悶える。
――ん?ていうか安室に頬を触られた?やばい!嬉しいけど恥ずかしい!普通やらねぇよ?マンガじゃないんだから!っいや、ここ漫画の世界だ。これが標準か?当たり前なのか?ハニトラか?いやこんなどこにでもいる女をハニトラしたところでメリットはねぇな。これが当たり前なら私この世界で生きていけない!いろんな意味でこの世界で生きていけない!
自分の思考に入ってしまってハッとする。
軽くパニックになっていたようだ。
「Aさん?」
「あっいえ、何でもありません」
何とか平静を装う為少し俯き顔を隠す。
そこで視界に入ったのは腕を掴む褐色の手。
そう言えば掴まれたままだったと思い出し、再度脳内パニック。
――ヒーーー安室さんに腕掴まれてる!!!
いつから自分はこんな初心になったんだ!と何とかして平静を保つ為なんとなしに時計を見る。
現在時刻9:30
いつの間にこんなに時間が経っていたのだろう。顔から血の気が引いて行く。
掴まれている腕を払い「安室さんごめんなさい!この話はまた今度!!」と慌てて店を出るが、急に顔色を変え、店を飛び出すAに安室が慌てて捕まえる。
先程まで安室でいっぱいだった思考が今は仕事でいっぱいだ。
家からポアロまで歩いて15分。
家からポアロとは反対方向にあるコンビニまで歩いて20分。
なのでポアロからコンビニまで最低でも35分はかかるのだ。
今なら走っていけば何とか間に合う!と思い走り出そうとして「急にどうしたんです!?」と安室に腕を掴まれ苛立つ。
「離せ!急いでんの!」
思わず素で怒鳴ってしまった。
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和佳子(プロフ) - 楽しく読ませてもらっています。読み返して気づいたのですが、世良ちゃんは真澄じゃなくて真純だったような気が⋯⋯ (2023年3月18日 17時) (レス) @page36 id: 30e7fd0f4c (このIDを非表示/違反報告)
さち - 楽しいです。続きが気になりました。よろしくお願いします。 (2019年5月15日 23時) (レス) id: b262052ad2 (このIDを非表示/違反報告)
淋 - はじめまして、早速面白い作品に出会えて良かったと思ってますww滅茶苦茶面白いですww最後の不機嫌な降谷とか笑いましたね!風見さんも何だかんだかわいいし…とことん降谷さんの邪魔をしてほしいですね!その方が個人的に面白いのでww (2019年5月13日 1時) (レス) id: b523bf60c6 (このIDを非表示/違反報告)
パパイヤ(プロフ) - 読ませてもらいました!とっても面白かったです。私もつい最近描き始めたのでお互い頑張っていきましょう!次の投稿も楽しみです! (2019年5月2日 21時) (レス) id: 01af9cd7e8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紫暗 | 作成日時:2019年5月2日 3時