【立海】またフラレたので髪切った (ページ9)

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幸村くんページ9

心臓が張り裂けそうだ
心拍数が上昇しているのがわかる
うるさい…なにドキドキしてんの？

この文章だけだと私が幸村に恋をしているように見えるが
断じて違う

有り得ない
私が目の前にいる黒いオーラを放っている魔王にドキドキすることは死んでもないだろう

『すみません、謝ります。許してください。』

声のトーンは低めに斜め45度に腰を曲げる
手本のような謝罪だと思う

ザワザワとすれ違う生徒達が「え、幸村くんに頭下げてる。やば」というような発言をし、視線を感じる
女が男に廊下でこんなことをしてたら私だって注目する

本当はこんなことしたくないが、幸村から解放されるためだ

「…逢坂さん、俺が恥ずかしいからやめてくれないかい？」

頭上から幸村の声が聞こえる
流石に大袈裟すぎただろうか
あー今、顔を上げたら怒ってるんだろうなー怖いなー
でもあげないと五月蝿いだろうし、それもめんどくさい

『…ご、ごめ…ん…あ…』

身体を起こして幸村の顔を恐る恐るみた

私の予想は大いにハズれた

「…君はなんでそんな恥ずかしいことができるんだい？」

うわー…この人魔王だけど、美しいわー…
あー、これがイケメンってやつかー
本当に恥ずかしかったのか頬を赤くしていた

『…幸村も照れるんだ』

やばい
思わず本音が

「…君は俺を何だと思ってるんだい」

魔王です。何て言えない
しどろもどろになっていると幸村の顔つきが変わり、
言い放った

「あぁ、たしか…魔王だっけ…？」

思い出した、そうだ。聞かれていたんだ
あの時…

『申し訳ございませんでした』

前言撤回、美しいかったのは幻だったようだ

この後、私を幸村から解放してくれたのは予鈴だった

「…時間がたりないね。逢坂さん、今日テニス部の部室によってくれるかい？」

黙って首だけ縦にふる

最悪だ。放課後が潰れてしまった
特に予定はないが