番外編１：逃げ道には行き止まりがある ページ12
Aが審神者として本丸に来てほしいという連絡が政府から来たのは、１年前の夏のことだった。しかし、審神者には刀剣を管理する義務があり、自分の安全は政府の責任ではない。ということが決まりであった。そのせいかAが審神者になる前から、○○の刀剣が闇落ちした。とか、○○の刀剣が刀解しようとしたたせいかその刀剣が○○を斬りかかった。という話は当たり前だった。
だから、Aは極力、刀剣男子とは関わらないようにした。
Aには、家族も充分なお金がなく、学歴も浅い。そのせいで、安定した職に就くのは難しかった。そんな中、たまたま審神者としての診断を無料でしてもらえるということで病院行ったら、次の日、電話で連絡が来た。
審神者になるには学歴など関係なく、給料は審神者になるだけで、死ぬまで暮らしていけるお給料がもらえるということで、断る理由がAにはなかった。
だが、刀剣の暴走、闇落ちが不安に思い、政府に問い合わせたところ、バグの可能性もあるので早めの点検をすると言い、さらには、定期的に政府が直接本丸に来て様子を見る。という対策があった。そして、Aは審神者になった。
初期刀は加州清光だった。
今では普通に会話しているが、最初はぎこちなかった。
加州「主、内番のことなんだけどA「ああ、後で考えてみるね。」
いつ、Aに危機が迫ることなんてわからない。毎日が恐怖に包まれていた。常に、出陣、演練、遠征以外はAがすべて任せていた。
いつも勝手に理由をつけて周りの距離を離す。
それが一番の方法だった、はず。
徐々に月が経つにつれて、何気なく話す機会も多くなったが。大抵は避けていた。
逃げていた。
それが今回の原因になるとは知らずに。
日に日に、刀剣男子の目にはAに対する冷たい視線があった。
逃げていても意味がないのだ。向き合わなくてはならない。逃げていたらいずれ、行き止まりがあったらもう逃げられない。
戦うんだ。抗うんだ。
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作者名：しぐれん | 作成日時：2016年7月15日 20時
