第36話 ページ44
「第一、もうすぐ人が死んで
この劇場――」
「"死なない"。 誰一人この劇場では
死なないよ」
乱歩の言葉を遮り、そう断言する
織田を乱歩も福沢も
驚いたように見ていた。
「...どうして断言出来るの?」
「それは秘密だ」
織田はそう云って微笑んだ。
その微笑みは、年に似合わぬ
艶やかでそして何処か儚げな笑みだった
「...君ってほんと変わってるよね。
そもそもこれ"脅迫"じゃないけど
ホントに死なないの?」
乱歩の云う通り、今回の事件は
正確には脅迫事件ではなかった
手紙には、ただ"演者を殺す"
そう書かれていて、なんの要求も
なかったからだ。脅迫なら
演劇をやめろさもなくば殺す
と、明確な要求がある
しかし今回はただ"殺す"そう書いてある
だから何をしようと
犯人は必ず演者を殺しにくるのだ。
単独なのか複数なのか素人か
プロかそういった情報がほとんどない中
福沢は完璧に死人を出さない
そうはっきり断言できていなかった。
あまりにも犯人の目的が
不透明だったからだ。
犯人の感情が全く予告の文章からは
感じられなかった。
ある考えが福沢の頭を過ぎった
少年は先程脅迫ではなく
予告だと云った。
そして今日の彼の言動
"まるで大人が判っていないことを
判っていないかのような言動"
自分の考えていることが
さも当然のように
大人も理解していると
思っているのだろうか
彼は自分が非凡であることに
全く持って気づいては
いないのではないか。
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読書日和(プロフ) - あい様、教えて下さりありがとうございます( > _ < )修正しておきました (2019年3月9日 7時) (レス) id: 074c26cf03 (このIDを非表示/違反報告)
あい - あの、19話と20話が同じなんですけど。 (2019年3月8日 21時) (レス) id: ba4bf15776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:読書日和 | 作成日時:2019年2月19日 21時