第22話 ページ27
福沢side
当たり前のように云う乱歩。
福沢は内心唸る。屯所の住み込みに
建設現場に郵便配達。
確かにとてもこの少年に
やりおおせる仕事とは思わない。
――全く都会は判らないなあ。
都会。彼は何故故郷から出てきたのだろう
「少年。故郷のご両親は」
「死んじゃった」
乱歩の瞳に、ほんの僅かに
悲しみの色が通り過ぎた。
「事故でね。兄弟親類もいないから、
それで横浜に出てきたんだよ。父上がね
何かあったら知り合いが校長をしてる
横浜の警察学校を頼りなさい、って。
父上は警察でもちょっと知れた人
だったから。まあ結局僕は警察学校も
すぐ追い出されたんだけど。」
乱歩は名を答えた。
その名前を聞いて、福沢は軽い衝撃を受けた
その名は福沢でも知っていた。
警察関係の界隈では知らぬもののない
伝説的な刑事だ。
首なし将校事件。月光怪盗事件。
牛頭事件。国内を震撼させたいくつもの
難事件を解決へ導いた名刑事だ。
驚異的な観察力と推理力で
真相をぴたりと云い当て
『千里眼』の名で呼ばれ
尊敬と賞賛を集めていた。
引退し、田舎へ移ったと
噂では聞いていたは――亡くなられていたのか
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織田side
乱歩の父親の名前を聞いた瞬間
福沢は、少し目を見開いた。
無理もない、警察の界隈では
かなりな有名人。その息子が
今、彼の目の前にいるのだから。
私は、最後の餅を食べ終えお茶を啜っていた
福沢と、乱歩は隣で話をしていた。
「ところで、君。名前は?」
福沢との会話を終えた、乱歩が
私に名を訊ねた。
「織田作弥だ。」
「ふぅん。君殺し屋さんなんでしょ?」
「元だがな」
そう答えると、乱歩は私を
見つめたまま黙った。しばらくすると
「髪、綺麗な色だから伸ばした方が
似合うと思うよ。"自分らしく"
生きるんでしょ」
「 ! 」
やはり、彼は天才だ。
一見しただけで、大抵の事実を
見抜いてしまう。心の中までも
彼の前では見透かされてしまう。
「お前は天才だな......」
私は、誰にも聞こえないように
小さく呟いた。
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読書日和(プロフ) - あい様、教えて下さりありがとうございます（ > _ < ）修正しておきました (2019年3月9日 7時) (
レス) id: 074c26cf03 (このIDを非表示/違反報告)
あい - あの、19話と20話が同じなんですけど。 (2019年3月8日 21時) (レス) id: ba4bf15776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：読書日和 | 作成日時：2019年2月19日 21時
