第19話 ページ24
私は、か細い声で言葉を発した。
「安心......しろ。秘書は...死んではいない
麻酔で...眠って...いる..だけだ
多少出血......しているがな」
視界が、白くなり意識が遠くなってくる。
意識を失う直前に、福沢は絞めていた
腕の力を、弱め私の上から退いた。
「ゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...」
空気が、一気に肺の中に入ってきて
咳き込む。
「貴様は、殺し屋だろう何故麻酔など......」
福沢は、私を見下ろし云った。
「何故......か、私は生憎だが
もう殺しはしないんだ。それにあんたも、
秘書を殺されたら困るだろう」
私が、そう云うと福沢は黙ったまま
私を見つめていた。
「そいつが殺し屋さん?」
隣の部屋から声がして、福沢は振り返った。
「救急車を呼べ。それから市警も」
「判ったけどさぁ、それよりねぇ
僕働き口なくなっちゃったんだけど
おじさん何とかしてくれない?」
自由奔放な乱歩は、そう云った。
福沢は、そんな乱歩に目眩を覚えつつ
歩き出した。
「ついてこい」
「......?」
「市警に捕まりたくはないだろう?」
「判った」
部屋の隅に飛ばされていた銃を拾い
肩掛けホルスターにしまい上着を羽織った。
真逆、福沢が私を市警に
突き出さないとは思わなかったが
素直について行く。
「ねえ、置いていかないでよ。先刻
ご飯奢るって云ったよね。云いましたよね?
それは好きなところで好きなものを
注文して好きなだけ食べて善いって
意味だよね? ご飯食べながら
僕の置かれた状況と解決策について
じっくりと聞いてくれるって意味だよね?
ねえ」
「お前ー」
乱歩は、邪気の全くない、
輝くばかりの笑顔で、こう云った。
「僕は江戸川乱歩。覚えておいてね!」
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読書日和(プロフ) - あい様、教えて下さりありがとうございます( > _ < )修正しておきました (2019年3月9日 7時) (レス) id: 074c26cf03 (このIDを非表示/違反報告)
あい - あの、19話と20話が同じなんですけど。 (2019年3月8日 21時) (レス) id: ba4bf15776 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:読書日和 | 作成日時:2019年2月19日 21時