天衣無縫・雪の夜

番外編 黒猫と社長 ページ18

ある日、いつものように朝の散歩をしていた



武装探偵社社長、福沢諭吉は



一匹の猫に出会った。



綺麗な黒毛の猫で、



綺麗な翡翠色の目をしていた。



その猫を見た瞬間、福沢は思わず



「乱歩?」



自身の部下である、江戸川乱歩を



思い浮かべた。思えば



乱歩は、猫に似たところが多々ある。



自由奔放で、掴みどころもない。



懐かないかと思いきや、褒めると



とことん甘えてくる。



そんな所が、猫そっくりだと思った。



そんなことを思いつつも、福沢は



懐から、常に常備している煮干を取り出した



何時もは逃げられてしまうが、今日は



上手くいくような気がした。



すっと、差し出すと



ぱくっ








珍しく猫が、煮干を食べてくれた



益々、その猫のことが乱歩のように見えてきて



福沢は持っていた煮干を全てあげてしまった。



煮干をあげ終えたあとも、猫は福沢の元を



離れる気配はなく、


その日の福沢の朝の散歩時間が



終わるまで福沢と猫は戯れていたそうだ。

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