第12話 ページ15
福沢side
秘書とあの殺し屋の護送に
ついて話していると、
「頼もう!」
鶏が鳴くような元気な声がした。
振り返ると、社長室に入口に
少年が立っていた。
年齢は14、5程だろうか。
田舎じみた防寒外套に
学生帽。鏡を見ずに切ったのでは
ないかと思われる不揃いの短髪に、
年代物の書類封筒を提げている。
まつ毛の長い切れ長の吊目が印象的な少年だ。
「いや今日は莫迦みたいに風が強いねェ!
この様子じゃあ二丁目の桶屋は大儲けだよ!
それはいいけどこの会社の立地ほんとどうにか
ならないかなぁ、海が近くて潮臭いし坂道は
面倒臭いし道は覚えにくいし、
ホントここの社長はどうかしてるよね!
これだから横浜なんて住むところじゃないよ
あでも、途中であった鴎気持ち悪くて
良かったね思わず弁当の握り飯を1つ
あげちゃったよ、あんまりにも
気持ち悪かったから。」
それだけの台詞を一息に発したのである
笑顔で
社長室の前で
「――は?」
秘書は間の抜けた声を上げた。
他にも云いようがなかったのだろう。
「『は?』じゃなくて、カモメだよカモメ。
知らない? あの羽のある怪物。
カモメって前世でよっぽど
非道いことしたんだろうね、だって
あいつの目をよーく見たら結構狂気を
宿してるものね! ところで話は変わるけど
握り飯いっこぶんお腹減ったんだけど
何かない?」
「はい? いやその......はい?」
秘書は二度疑問符を発した。
さもありなん、である
学生帽子の少年はにこにこと喋っていたが、
不意に室内に目をやって口を閉じた。
それから吊り目で周囲を一通り見回した後、
目をさらに細めて、
「ふうん。......大変そうだね」
と云った。
ラッキーアイテム
麦わら帽子
91人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
読書日和(プロフ) - あい様、教えて下さりありがとうございます( > _ < )修正しておきました (2019年3月9日 7時) (レス) id: 074c26cf03 (このIDを非表示/違反報告)
あい - あの、19話と20話が同じなんですけど。 (2019年3月8日 21時) (レス) id: ba4bf15776 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:読書日和 | 作成日時:2019年2月19日 21時