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「もう、叔父貴も幹部も広間で待っとる」

ギシギシと軋む廊下を進んで行くトントンの後ろを、Aはチョコチョコと着いていく。廊下には、水墨画のようなものが掛かっている。死ぬ前に見る芸術にしては良いな、と先程から死ぬ気でいるA。とうとう広間についてしまった。

コンコン、とノックし、トントンが帰ってきたことを告げる。入れ。と威厳ある声が聞こえて、トントンはゆっくりと襖を開ける。

「ただいま、叔父貴」

「ああ。……後ろの人が、お前の気に入った嫁か?」

「せやで」

トントンがAの背中を押し、広間へと連れて行く。ペコッと頭を下げたAは、震える唇を開いて、AAです、と簡単な自己紹介をする。その名前に聞き覚えのあった幹部、ロボロはつまらなそうに窓の外を見ていた顔をこちらへも戻した。

「……A!?」

「え、天野先輩……?」

思考が追いついていないAだが、よく考えれば、全て納得がいった。言葉の節々にトントンと同じように極道のようなところを感じさせたのも、たまに会社に居なかったのも。

「まぁ、座れ」

「っ、はい。失礼します」

ゴクッと唾を飲んで、Aは用意された座布団に腰かける。叔父貴、と呼ばれるトントンの父は、大きな座布団の上にあぐらを書いている。彼の後ろには、床の間があり、床框は豪華な金でできている。床の間に飾られている日本刀は、トントンのとは比べ物にならない程大きくて、素人でも良いものだと分かる。

「……トントン。お前は、正気か?」

「……は?」

親子の会話が始まると、一気に場の空気は変わった。幹部たちも、顔を引き締めている。Aは目を忙しなく動かして、必死に状況を飲み込もうとしている。

「グルッペン」

「はい、叔父貴」

叔父貴に負けず劣らず威圧感のあるグルッペンが返事をする。しかし、その表情からは、少しの緊張が読み取れる。

「お前は、トントンの嫁はアイツに勿体無いくらいの素晴らしい女性、そう報告したな?」

「ええ」

「俺は……ガッカリしたわ。Aとか言ったか。トントン。その人は諦めろ。うちの組には合わない。もっといい女が居る」

自覚しては居たが、ハッキリと面と向かって言われると、Aにもくるものがある。だが、ここで言葉選びを1つでも間違えようものなら、首がは跳ねられるかもしれないと、Aは怯える。

「……親父、目ぇ悪いんか?Aは俺の嫁になるにふさわしいやろ」

「俺は認めへんぞ」

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ゆず塩(プロフ) - 何回も読み直して部屋が水没するくらい泣きました…最高です!! (3月29日 1時) (レス) @page50 id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - もうこの作品も最高でした!!!!最後のrbrさんとの話がまたよかったです!!大好きです!!←突然の告白 (2022年12月11日 14時) (レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - ボロッボロに泣きました。とても素敵なお話でした。今までたくさんのお話を読んできましたが、こんなに感動して心を動かされてドキドキしたものはこれが初めてでした。何度も読み返させてもらいます!素敵なお話をありがとうございました!! (2022年9月5日 18時) (レス) @page50 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぺに(プロフ) - 。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。←感動しました。ひよこさん大好き。 (2022年6月17日 23時) (レス) @page50 id: bcadc0cb73 (このIDを非表示/違反報告)
防弾チョッキ(初心者) - なんちゅう殺傷能力の高いお話を書くんや・・・最高ですありがとうございました。自分的に最後のrbrさんとの会話がウヘヘヘヘ←キッモ (2022年5月2日 23時) (レス) @page50 id: 16da95312d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年10月10日 17時

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