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トントンに求婚されてから約1ヶ月が経った。相変わらず彼は、家事などを進んでやってくれている。彼が愛用している日本刀は、何故かAの家に置き去りにされているため、警察が部屋に入ってきたら、1発でAはアウトだ。
この日はいつもと違い、トントンがキッチリとした格好でAの家に不法侵入していた。
「……どうしたんです？」
歯磨きをしながらだったので、口元が少し歯磨き粉で白くなっている。トントンは、嬉しそうに笑って話をする。
「今日で、俺の任務が終わんねん。せやから、このマンションから離れることになってんな」
「ああ、なるほど。今までありがとうございました。ご飯美味しかったですよ。勝手に作った合鍵は置いて行ってくださいね」
「待て待て待て。俺とAは結婚するんやから、ちゃんと叔父貴に紹介せなアカンやん？」
「……連れて行く気ですか」
「せやで。それなら、Aも俺の嫁になれるし」
冗談じゃない。洗面台に歯磨き粉を出して、水で流す。口をゆすいでからトントンの前に行き、頭を下げる。
「私、今日は休日なので休みたいんです」
「ごめん、叔父貴に言ってもうた」
無邪気な顔をして言ったトントンは、Aを抱えた。Aは諦めて、大人しく運ばれることにした。愛おしそうに家を眺めながら、車に乗せられる。
「さて、我々組の本部へ行こか」
「本部……!?」
平凡な一般人市民のAにとっては、遠い存在。これから何が起きるか分からず、下唇を噛む。
「血ぃでんで」
バックミラー越しにその様子を見ていたトントンに言われ、Aは噛むのをやめる。出会った時のトントンのように、挨拶を失敗したら切られるんじゃないかとか色々と最悪の場合が頭を過ぎる。
「着いた」
車を止めて、扉を開けたトントン。目の前には、とても大きな日本家屋。もしこれが漫画やアニメの世界であったら、着流しを着たラスボスが住んでいるだろう。表札のあるべき場所には、ご丁寧に我々組、と書かれた木板が掛けてある。
「大丈夫か？」
クイッと眼鏡を上げてトントンが聞く。コクコクと小さく頷いて、Aは門を潜った。
(次はクラゲにでも生まれ変わりたいなぁ)
死ぬことを覚悟して、砂利を踏みしめる。ガラガラと戸を開けたトントンは、そこで靴を脱ぐようにAに言う。
「トントンさん。骨は拾って下さいね」
「大丈夫やって！」
実の息子だから言えるのだ。一般人からしたら、明日は無いと思うのが普通だ。
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ゆず塩(プロフ) - 何回も読み直して部屋が水没するくらい泣きました…最高です！！ (3月29日 1時) (
レス) @page50 id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - もうこの作品も最高でした!!!!最後のrbrさんとの話がまたよかったです!!大好きです!!←突然の告白 (2022年12月11日 14時) (レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - ボロッボロに泣きました。とても素敵なお話でした。今までたくさんのお話を読んできましたが、こんなに感動して心を動かされてドキドキしたものはこれが初めてでした。何度も読み返させてもらいます！素敵なお話をありがとうございました！！ (2022年9月5日 18時) (レス) @page50 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぺに(プロフ) - ｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡｡ﾟ(ﾟ´Д｀ﾟ)ﾟ｡←感動しました。ひよこさん大好き。 (2022年6月17日 23時) (レス) @page50 id: bcadc0cb73 (このIDを非表示/違反報告)
防弾チョッキ（初心者） - なんちゅう殺傷能力の高いお話を書くんや・・・最高ですありがとうございました。自分的に最後のrbrさんとの会話がウヘヘヘヘ←ｷｯﾓ (2022年5月2日 23時) (レス) @page50 id: 16da95312d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年10月10日 17時
