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「なんでですか」

嫉妬するような目を向ける天野に、Aは呆れたように返す。

「首、赤なってんで」

「えっ」

首元に手をやって昨日のことを思い返す。そういえば、トントンが首筋にキスを落としていたような。あれはキスマークを付けていたのか。1人納得するAに、天野は拳を握って振り回す。

「随分と独占欲の強い彼氏さんやなぁ!?俺の友達も、最近ええ嫁さんゲットしてん。クッソ、なんで俺には彼女出来へんのや!!」

「……その、童貞感丸出しなとこじゃないですか?」

煽るように言うと、天野の手がAの頭を叩く。「嫁」という言葉に最近少し敏感になっているAは、少し声のトーンが低くなっている。

そして、天野の言う友達というのは、勿論トントンの事だ。天野呂戊太は、我々組の幹部、ロボロだ。この会社には、とある任務で潜入している。ロボロはAがトントンの嫁なんて知らないし、Aもロボロの言っている友達がトントンのことだとは知らない。

「……天野先輩。童貞の貴方にこんなこと聞くのは、失礼かもしれませんが」

「その言葉も十分失礼やで」

「どうやったらしつこい男って離れますかね」

「……知らん」

「やっぱり。先輩に聞いた私が馬鹿でした。じゃあ、お気をつけて」

そろそろAも上がるため、色々と準備をする。無言でAの額にデコピンをしたロボロは、スーツのネクタイをピシッと戻して、Aの署から出た。

しばらくしてAも退社した。今日は早めに解放されて、ゴキっと首を鳴らしてプラットホームに下りた。帰りの電車に揺られて、家に戻る。

しっかりと、2号棟だというのを確認してから、Aはエレベーターに乗り込んだ。4階のボタンを押すと、4の数字が点灯する。エレベーターが着いて降りると、すぐにエレベーターは上に上がって行った。

ガチャガチャと鍵を開けて、扉を引く。

「ただいま」

誰も居ない部屋にそう呟くと、何故か返答があった。

「おかえり」

「……まだ居たんですか」

家に戻っているというのは、思い込みだったらしい。靴を脱いで部屋に上がると、ぎゅうっとAを抱き締めたトントンが耳元で囁く。

「可愛ええ下着やな」

「は!?」

トントンからすぐに離れ、Aは眉を顰める。

「ベッドの下に落ちとったで。せや、今日は頑張ってハンバーグ作ってん。一緒に食わん?」

「……プライバシー」

「俺ら、夫婦やし、そんなん気にしとったらアカンやろ」

「何言ってるんですか」

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ゆず塩(プロフ) - 何回も読み直して部屋が水没するくらい泣きました…最高です!! (3月29日 1時) (レス) @page50 id: 8ae73bc925 (このIDを非表示/違反報告)
けんまおし1016(プロフ) - もうこの作品も最高でした!!!!最後のrbrさんとの話がまたよかったです!!大好きです!!←突然の告白 (2022年12月11日 14時) (レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - ボロッボロに泣きました。とても素敵なお話でした。今までたくさんのお話を読んできましたが、こんなに感動して心を動かされてドキドキしたものはこれが初めてでした。何度も読み返させてもらいます!素敵なお話をありがとうございました!! (2022年9月5日 18時) (レス) @page50 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぺに(プロフ) - 。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。。゚(゚´Д`゚)゚。←感動しました。ひよこさん大好き。 (2022年6月17日 23時) (レス) @page50 id: bcadc0cb73 (このIDを非表示/違反報告)
防弾チョッキ(初心者) - なんちゅう殺傷能力の高いお話を書くんや・・・最高ですありがとうございました。自分的に最後のrbrさんとの会話がウヘヘヘヘ←キッモ (2022年5月2日 23時) (レス) @page50 id: 16da95312d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:   
作成日時:2021年10月10日 17時

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