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「いただきます」
熱々の餃子は、どんどんと俺らの胃に吸い込まれていく。30個目の餃子を食べ終わった時、Aがメニューを見つめていることに気づいた。
「A。追加注文？」
「……いい？」
肩を竦めて言うA。誰がダメというものか。俺は、Aの元彼とはちゃうから安心してええのに。俺もまだまだ食べな気が済まんし。すみません、と店員を呼ぶと、うわっと明らかに顔を顰められた。
「小籠包全種類6つずつと、食後に杏仁豆腐をお願いします」
店員は、Aと話すとすぐに顔が緩んだ。幸せそうに厨房へ戻る店員を尻目に、残りの餃子に手をつける。
「ゾム君。この餃子、一日1個だけの限定餃子だって。食べる？」
Aにだけ渡された餃子。美人は得するってホンマなんやな。
「食ってええの？」
「勿論！はい、口開けて」
餃子を半分に割って、Aは俺の口元へ餃子を運ぶ。
Aの箸。しかもAが俺にあーん、してくれている。この状況は一体……。やっぱり俺は日頃の行いがええから、神様が味方してくれてんねんな。うん。
ニコニコと笑うAの無垢な期待の篭った眼差しに、俺は素直に口を開けた。
つくづく思う。怖いな、無自覚って。
「……んまっ!!」
「本当？じゃあ、私も……」
まだ食べてへんのかい。毒味係か？俺は。
「すごい美味しい……」
ああ、可愛ええ。多分、人生で1番可愛ええって思った年やと思う。
「ゾム君。小籠包来たよ」
「やっとか。あざっす」
あっという間に、机の上が蒸籠でいっぱいになる。周りの客が、目をひん剥いている。それにしてもこの店、美味いな。また来るか。
「ん……幸せ」
「俺も」
ペロリと小籠包を食い終わり、杏仁豆腐が運ばれて来る。Aは、ジッと俺の杏仁豆腐を見つめている。
「どうしたん？」
「それ、貰ってもいい？」
マジか。しかし、断りずらい。スっと杏仁豆腐を差し出すと、Aは笑顔で杏仁豆腐……の上に乗っているクコの実を取った。
「えっ!?杏仁豆腐はええの!?」
「そんな、ゾム君の杏仁豆腐を取るなんてしないよ。クコの実って、美容にいいらしくて。ゾム君も美容のために食べとく？」
「いや、ええわ」
貰ったはいいものの、やはり美味くはないようで。食べる時は幸せそうな顔をするAも、難しい顔をしている。
「杏仁豆腐と一緒に食えば？」
「杏仁豆腐は杏仁豆腐で食べたいなぁ」
ふふっと笑うA。ホンマに可愛ええなぁ。
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ただの一般人。 - 今までにない展開がたくさんあって、とても面白かったです！！好きすぎて、何回も読み返しては感動。を繰り返しています。完結が惜しいですが、幸せになってくれたのでOKです！ (11月25日 22時) (
レス) @page49 id: adc31b39f1 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - めっちゃ泣いたンゴ…！！天才ですね！ (7月25日 15時) (レス) @page31 id: 2a8bacdc50 (このIDを非表示/違反報告)
ねお(プロフ) - とてつもなくしゅき…尊すぎて言葉が出ないﾝｺﾞｫｫｫ！ところでご報告なのですが、テラーでこの尊い尊い作品に似たものがございまして…。もしかしたらひよこの子様のパクリなのでは？と思いコメントさせて頂きました。ご確認の程よろしくお願いいたします (7月21日 17時) (レス) id: c2f9d03b74 (このIDを非表示/違反報告)
ここなつぁ。 - めっちゃ好きです…！夢主ちゃんと、zmさんの愛らしい恋物語が描かれていて、なんだかほっこりしました、笑。これからも頑張ってください！ (2023年4月16日 22時) (レス) @page50 id: d72a0ee724 (このIDを非表示/違反報告)
ふゆのこ(プロフ) - この作品好きすぎて何度も読み返してます。3は超えました。これからも読み返します。本編のネックレスを探すとこもご飯食べているとこも好きなんですが番外編の子供たちは本当にお気に入りです。子供たちに脅威さんのむっつりなところが遺伝してないことを願ってます。 (2023年1月6日 0時) (レス) @page50 id: 803f58ab86 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひよこの子
| 作者ホームページ：
作成日時：2021年9月2日 18時
