【d!】泣きながら飯食うなや【zm】

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A不足が限界に達したその日に、寧々からLINEがきた。いつものように無視しようかと思ったが、内容が内容やったから、無視できへんかった。

『ねぇ、ゾム。アンタの彼女浮気してない？』

待て。なんでお前がAのこと知ってんねん。まぁ、アイツはしつこい奴やし、探偵でも雇ったんか。

『はぁ!?Aが浮気する訳ないやん。嘘つくならもっとマシな嘘つけや』

しかし、次に送られてきたのは、Aと寧々のトーク画面。恋愛について熱く語っとる。アイコンも名前もAのものや。どこで知り合ったん？内容を要約すると、俺の他に好きな人が出来たんやと。

よく出来た合成やな。

しかし、次の写真で、俺は絶望させられた。

『寧々さん。私ね、ゾム君と別れることにします。そのケジメというか……なんというか、プレゼント捨てました！』

その文の下に送られてきているのは、俺がAにあげたネックレスが他のゴミと同じように捨てられとる写真。これは……Aの部屋のゴミ箱や。

いや、嵌められとるのかもしれん。何らかの機会があって、Aの部屋に入った時に寧々がやったんやろ。きっとそうや。

『それでさ、ゾム。さっきAちゃんが××通りをイケメンと歩いてたわよ。確認したら？』

気づいたら、家を出とった。頼むから寧々の嘘であってくれ。俺はAを信じてんねん。全部合成で嘘なんやろ!?

俺が××通りに着いた時には、Aの姿は無かった。しかし、少し辺りを見回せば、すぐに見つかった。

……キスしとる。嘘や。嘘や。嘘や。なんで抵抗せえへんねん。なぁ、A。




あぁ、俺は騙されとったんや。

っはは、馬鹿や。俺。



翌日、Aが家に来た。俺を騙しておいてのうのうと家に来れるこいつの神経が理解できへん。

壁を殴りつけると、怯えた目で体を震わせる。これも、演技なんか。

Aが肉じゃがを出した瞬間、俺はゴミ箱に捨てたった。

これで分かるやろ。俺の思いが。ホンマに悲しかったんやで。A。

泣きそうな顔で話を聞いて！と言い訳しようとするAを家から追い出す。鍵をかけると、扉の向こうでAの声がした。

「っ、なんでぇ……!!!」

泣いとるのか。演技がバレて。残念やったな、A。

それにしてもAのあの顔が頭から離れへん。

騙したのはそっちなのに、なんでそんなに悲しい顔をするん？なんで俺を怖がるん？

悪いのは、お前やろ。

部屋には、肉じゃがのええ匂いしか残らんかった。

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