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コネシマさんの言葉にどこかガッカリしている自分が居る。
「Aさん、立てる?」
コネシマさんに劣らない顔面で微笑みながら、ゾムさんが手を差し伸べてくれる。その手に触れようとした瞬間、コネシマさんに腕を掴まれてグイッと持ち上げられる。
「いたたたた」
「おい、シッマ。いくら女嫌いやからって、そんな雑に扱うこと無いやろ。脱臼したらどうすんねん」
「お前には関係無いやろ。行くぞ、A。はよ支度して鮭と服買いに行こう」
「コネシマさん。ゾムさんは貴方に用事があるのでは?」
「……チッ、先着替えてろ」
不機嫌だ。
「Aさん、ホンマにごめんな!!いつかお詫びに何か持ってくるわ」
「お構いなくー!」
支度を済ませてコネシマさんを待っていると、5分程で彼は戻ってきた。心做しか憔悴しているように見える。
「アイツ……また要らんもん寄越しやがって」
コネシマさんの手には紙切れが数枚。近くの定食屋の割引券だ。コネシマさんはそれを捨てずに冷蔵庫に貼り付ける。
「あー!そうやって使いもせずに貼るだけするから邪魔になるんですよ!開ける度に落ちてきてウザかったんです!期限切れのもあったし!捨てるか、使うかどっちかにしてください!」
「とっておきたくなるやん」
「分からなくはないですけど。それより、早く着替えてください」
「もうこのままでええんちゃう?」
「国民的大スターがパンイチで歩いていいんですか」
「めんどくせぇ」
そう言いつつもコネシマさんはしっかりと着替えてくれた。コネシマさんの変装は完璧だ。どこの誰が見てもコネシマさんとは気づくまい。
コネシマさんとスーパーで鮭とかその他食材を買い、服屋で服を数着買って貰った。値段は見ることの無いような凄い値段だった。
「色々ありがとうございます。あの、持ちますよ。雑用はやるって言いましたし」
「気にすんな。俺が持ちたくて持ってんねんから」
「でも」
「ええから。しつこいと追い出すぞ」
この人の脅しはいつもこれだ。結構買ったし、帰ろうと言う話になった時、コネシマさんを呼ぶ人が居た。
「コネシマ君……?」
「あ?っ、え。な、なんで、お、おま、お前が……A。あのカフェで待ってて。すぐ戻る」
明らかに動揺した様子で、コネシマさんは綺麗なお姉さんと共にどこかへ消えた。私の心には、孤独感と虚しさが残るだけだった。
「ここに居ったんか、クソガキ」
そんな時、今一番会いたくない奴らに会ってしまった。
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まっくろしろすけ - 最初にマグロって出てきて「わ!マグロや!」ってなりました!(なんでマグロでわー!ってなってるのかわかるひとには分かると思う!)この小説好きです! (8月5日 0時) (レス) @page15 id: 017cec3e53 (このIDを非表示/違反報告)
ピッピ168号 - あえ?完結しちゃった…。いや、喜ばしいことなんだけども!好きな小説が終わっちゃうと少し寂しいですね…。次回作も期待してます! (7月23日 15時) (レス) @page43 id: bae95beb1a (このIDを非表示/違反報告)
ピッピ168号 - ??????????????神かな????????????あ、神だったわ。…周回しよ……。 (5月15日 23時) (レス) id: bae95beb1a (このIDを非表示/違反報告)
ピッピ168号 - ふふふふふふふふふふふふふふふ嫉妬する夢主ちゃん可愛い(´∀`*)ウフフ動けない…?あっ…(察し)二人共お幸せに〜楽しめよ〜 (4月27日 22時) (レス) @page42 id: bae95beb1a (このIDを非表示/違反報告)
しょしょ - kn夫婦てぇてぇ… あの女子高生分かりみが深すぎるんじゃぁ〜 (2023年4月14日 22時) (レス) @page41 id: 275501d424 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2023年3月25日 14時