蝉の夢は砕けて。【sha】(筆者) ページ4
ついには生徒が俺1人になった。
こんなインターネットもなければテレビすらないような田舎で住み続けている事ができる奴なんてそうそういない。あァもちろん、都会から越してきた奴らの事やで?しばらく経って仕舞えば耐えきれずにまた何処かへ越していく。物心ついた頃から、イヤ生まれた時から此の村で生きてきた俺には都会の快適さ楽しさ現実は何も分からんけど、知らないほうが幸せでいられる事ってあるやろ?それや。
「イヤ〜ついには生徒シャオロン君だけになったね。君とは幼稚園からの付き合いだけど俺とシャオロン君一対一で教えたのはこれが初めてなんよな。なんか、感慨深いもんがあんなァ…」
「でもよォ、明日明後日あたりに新しく越してくる奴おるって朝放送で言っとったで?どうせ子連れなんやろ?」
「あァイヤそうだったね。でも今日は一対一やから」
「そやな。で?今日は何すんの?」
「何したい?」
どうせこの村以外に出て行く事が無いのだから真面目に勉強する必要がない。だからいつもこうやって何をしたいか聞かれ、結局はただの雑談時間と成り代わる。することもないからな、しゃーないよね。
ーーーーーー
昨日の放送通り転校生が来た。2人も。ソイツらの名前生年月日身長体重元の住所等その他個人情報は既に放送によって村中の人間が知っている。毎度の如く此れには驚かれるんやから、都会には放送ってないんやろな。放送がない生活なんて信じられんわ。つか女の方可愛ええな。あァでも男が好意を抱いているらしいからなぁ…邪魔やな。殺すか。
「ほらシャオロン君自己紹介して〜」
「ん?なんで?」
「絶対聞いてなかっただろ…もう一回言うな、俺ら村側の人間は彼らのこと知ってるけど、彼らは俺らのこと知らんから自己紹介しようっちゅう話をしとったんやけど」
「あ〜恒例のアレね。怠いわぁ。越してくる前にそれぐらい調べとけっちゅうねん。まァええわ。えーっと?俺の名前は木ノ葉紗緒。皆からはシャオロンって呼ばれてんで。村の子どもは俺ら3人だけやから、貴重な人材やで〜よろしゅうな〜」
適当に挨拶を済ませ、窓際に寄せられた席に座り直して、「どうやって殺したらええかな。」と考えていた。…うーん思いつかん!こーなったら先生に聞こ。どうせアイツ放課後暇やろうし。
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作者名:ひよこの子 x他8人 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年8月6日 18時