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「気にせんでええ。もう日の目を見ることも無かったんやし。メイド服もアイツも浮かばれるやろ」
「そういう考えは好きだよ。……ところでマンちゃん。この黒焦げのプリンみたいなの何?私達のこと騙そうとしてる?」
「カヌレっちゅうお菓子。美味いから食ってみ」
「ほう、あそこのか。よく買えたな」
「朝から並んだんやで?」
グルッペンは既に口に入れて、一般兵には見せることの無い緩んだ顔をする。Aも1口食べたが、いまいち味がよく分からない。だがオスマンの3時間を無駄にするのも嫌なので、うん、美味しいね。と適当に言っておく。
「あ…そういえば、スティアの幹部昇格の件どうするの?」
「……悩みどころだよな。実力は優秀。だが過去にトラブルをいくつも起こしている。しかも男女関係でな」
スティアとは、3年程前にこの軍へやって来た暗号解読士。実力は確かなものだが、過去に4度男女関係で事件を起こし、その影響は他国にまで及んでいる。Aとしては、女性幹部が増えるので是非とも昇格して欲しいところだ。
「しばらくは保留やな」
「A〜これあげる」
「ん?」
オスマンは紙袋をAに渡す。怪訝そうに中身を見たAは、何これ。と服らしきものをつまみあげる。
「逆バニ。ええやろ?」
「…なるほどね。大体察したわ」
なんで持っているのかはこの際追及しないでおこう。有難く受け取ったAは、そろそろ仕事に戻る。と部屋を出ていく。
「やっぱアイツおもろいよな」
「な。…って、俺の分全部食いやがったな!?」
「ああ、すまん」
「ぶっ殺したるわ」
オスマンは部屋にあった友人からのプレゼントである刀を手に取り、グルッペンに躙り寄る。後ほどAに世話になるのは明白だ。
その日の晩、エーミールに食事を運んだAは彼に聞く。
「メイド服って好き?」
「んんっ!!!何ですか急に!!」
「好き?」
「まぁ、それなりには」
「本音はー?」
「めっちゃ好きです」
「よし、行ってきます」
「…?お気をつけて」
Aの真意は分からなかったが、エーミールは笑顔でAを見送った。自室でメイド服に着替えたAは、部屋の壁にかかっている鏡に向かってセリフの練習をする。
「おかえりなさいませ、ご主人様!ん〜……私といいことしませんか?ご主人様!」
その瞬間、Aは気配を察して扉の方を向く。そこには、驚きのあまり固まるチーノが。
「いや、ええと思うで。うん。そういう時もある。うん」
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けんまおし1016(プロフ) - もうこの作品もまじで最高でした!!!!他の作品もみるのはもちろんお気に入り登録もしときました!もう最高でした!!もう言葉にならないです!!!!! (2022年12月11日 9時) (レス) @page50 id: 92260459e9 (このIDを非表示/違反報告)
一条なつき(プロフ) - めちゃくちゃ良かったですひたすら鼻水ズルズル涙ドバドバで読ませて頂きました!! (2022年10月7日 2時) (レス) @page45 id: 10435debae (このIDを非表示/違反報告)
黒輝 雷音⚡ - 途中emさんが舌打ちしながらカーテン閉めるのでめっちゃ爆笑しちゃいました!(笑)めっちゃ面白い作品でした! (2022年9月26日 2時) (レス) @page45 id: a7e2765b25 (このIDを非表示/違反報告)
這い寄る脅威(プロフ) - ピくんーーーーー!!!www (2022年8月29日 0時) (レス) @page49 id: 0893c6b06a (このIDを非表示/違反報告)
コム@スランプなう(プロフ) - 夢主可愛い…zmさんッ!僕にもその子貸しt)))←おまわりさーんこいつでーす 番外編ちょくちょくかいてくれるの嬉しいです😊 (2022年8月28日 13時) (レス) @page49 id: 0ee0aa5caa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年8月1日 20時