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「っ」
気付けばそこは、薄暗い牢屋だった。両足には重い枷がつけられて。首には首輪がついてて鎖で床と繋がれている。
早すぎる。まさか、あんな姑息な手を使ってまで見つけ出すとは。最低すぎる。
「おかえり、A」
グルッペンがにこやかに笑う。
「最低……!!」
「それはお前だろ?酷いやん。俺らに何も言わずに出てくなんて」
グルッペンに冷ややかな目で見下ろされると、泣きたくなる。威圧感とか、色々。
「そっちこそ、勝手に妊娠させるなんてどういうつもり」
「おやぁ?人聞きの悪い!他の夫婦だって子を作るだろ。好いた女を孕ませることの何が悪い!」
狂ってる。
「お願い、もういいでしょ。帰らせて、教授の所に帰して!」
そう叫ぶと、私の頬を銃弾が掠める。ツツ、とりあえず血が垂れる。ゾムが放った銃弾だ。
「え、何?Aは俺らよりエミさんを選ぶん?嫌いになったん?嘘やろ?Aは俺らのやんか。だ、だ、大好きって言うてたやん」
「それは、仲間として」
「う、嘘や!ちゃうやろ?」
「何で、こんな事するの」
「そんなの、Aの事愛しとるからに決まっとるやん!」
ロボロが悪気の無い笑顔で笑う。
「大丈夫。その子が産まれてもAを愛すから。可愛ええなぁ、怯えてもうて……」
トントンの手が顔をスリスリと撫でる。
「やめて!」
「どうせ、エミさんには触らせたんやろ?」
トントンの鋭い視線が私を射抜く。
「違う。怖いよ、皆。やり方が酷い」
「愛に手段などない」
「やりすぎだよ!」
叫ぶと、皆の目付きが変わる。
「あーあ。悪い子になってもうたなぁ?A。お仕置きせんと」
「近づかないで!嫌だ、気持ち悪いよ」
私の声も聞かずに、シッマが私の前に立つ。
「舌出せや」
「……やだ」
「手間かけさせんなや。出せ言うてんねん」
心臓から凍りつきそうな声だ。でも、屈しない。すると、シッマは私の口を無理やり割って、親指と人差し指で私の舌を掴んで出す。
「いひゃい!」
「そうかそうか」
シッマは私の舌をバチン、とクリップで挟む。
「ん゛ああ゛、痛い!!」
痛すぎる。木製だけど、食い込んで痛い。両手両足を拘束されているから動けない。
「犬みたいで無様や。可愛ええなぁ、A」
まともに話せない。取って、と言っても伝わらない。
涙が溢れてくる。皆はただ笑っているだけだ。この様子を可愛いと思うなんて精神がおかしい。
「なぁ、A。俺らから逃げれると思っとんの?」
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硝子玉(プロフ) - 最後まで不穏ですね、彼らが妥協するまで眉を顰めて読んでいました。面白かったです。後輩2人が実は同じことしてた、なんて考えましたが流石にそんなことありませんでした。誰の子とも言える書き方が素晴らしいと思います。命令内容が子供を守れとかだと面白いですね。 (8月3日 17時) (レス) @page41 id: d2ec184a3c (このIDを非表示/違反報告)
セネリオ - めっちゃ良かった!!emさんとsypくんとciくんが…!カッコ良すぎて萌え死にする…!そしてなんとなくgrさんだと思います。他の作品も頑張ってください! (2022年12月27日 9時) (レス) @page38 id: bb7bb5003e (このIDを非表示/違反報告)
かきくけの(プロフ) - 個人的にはsnが味方っぽいけど本当は幹部達と同じことしてて、罪悪感から助けてだけど子供がsnの子だったから顔が合わせられなかったとかだったら熱いな。でもたぶんgrさんの子な気がする (2022年10月17日 23時) (レス) id: e7af349437 (このIDを非表示/違反報告)
ゆるぽろう - 完結おめでとうございます…そしてありがとうございます…!!!序盤が凄く暗かったからこそ、最後のあたたかい終わり方が心に沁みました。てかemさんとshpci後輩かっこよすぎですね一生愛せます!!!今回も素晴らしすぎる作品をありがとうございました!!! (2022年10月15日 13時) (レス) @page38 id: 8509ca10df (このIDを非表示/違反報告)
はっぱ*(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!!本当に物凄く心を掻き乱された作品でした。とてつもなく良い意味で。素晴らしい作品をありがとうございました!! (2022年10月15日 13時) (レス) id: ddb5b2a27a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2022年9月26日 18時