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「Aちゃん。これからよろしくね」
パチンとウインクをする鬱先生をスルーし、Aは黙々とシチューを食べていた。
「……なんで、あんなことしといてのうのうと俺らの前で、食事出来るん?」
チーノが聞く。当たり前だ。仲間を殺した女が、目の前で美味しそうに飯を食っているのだから。
「……終わったことじゃないですか。それを言うなら私も仲間をあなたがた我々国に何万と奪われた。私だけ責められるのって、どうですかね」
嫌味のようにAが言うと、チーノは顔を引き攣らせた。
「私も居たくてここにいる訳じゃないんです。グルッペン・フューラーに無理やり働かされているんです。でも、皆さんとは仲良くしたいので、よろしくお願いしますね、皆さん」
「口だけでかくても意味無いで。信用を得たいなら、仲間として認められたいのなら、態度で示せ」
コネシマの言葉に、皆が頷く。可能性がゼロではないと分かったAはクスッと笑う。
「勿論です。でなきゃ居る意味が無いですから」
食べ終わった食器を戻したAは、グルッペンの元へ行った。いつでも殺せるように、遠くからシャオロンとショッピの銃口がAを狙っている。
「グルッペン・フューラー。……いや、総統閣下」
「なんだ?」
ワクワクとした、少年のような瞳でグルッペンが尋ねる。Aは、スっとグルッペンに握手を求めた。
「何も仕込んでませんよ。ただの握手です」
「それは、つまらない。毒針の1本や2本仕込んでおけ」
ニッと歯を見せて笑ったグルッペンは、Aの手を握った。
食堂を出たAは、真っ直ぐとトントンの部屋へ向かった。幹部棟2階の廊下を歩きながら、部屋を探していると、一部屋だけ高級そうな扉に似合わない豚のプレートにTONTONと書かれたものがぶら下がっている部屋を発見した。恐らくここだろうと、ノックするとトントンが目を擦りながら出てきた。
「Aか、なんの用や」
「明日からの仕事の確認を。失礼します」
トントンに部屋に入ったAは、基地の構造や、仕事内容、その他ルールなどを教えた。
「なるほど、分かりました」
「分かったか?じゃあ、頼むで」
「ええ」
「あ、そうや。なぁ、A。無いとは思うけど、もしグルさんや、アイツらを傷つけるような真似したら、許さへんで。お前のしてきたことは、俺は許しとる。だが、許しただけや。お前のことは監視をつけたいくらい疑っとる」
低くトントンが言う。
「しないですよ。絶対」
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はちみつ(プロフ) - 1章お疲れ様でした!2章も頑張ってください! (2021年8月11日 17時) (レス) id: 3af09653e7 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - ひよこの子さん!まずは1章お疲れ様でした(; ;)やっぱり前作といい今作といい伏線かな...?と思われる描写がいくつかあり2章、3章がめっちゃ楽しみになりました!毎日ほんとに大量更新ありがとうございます...毎日の楽しみです...!体調に気をつけて頑張ってください! (2021年8月11日 1時) (レス) id: d2abe96452 (このIDを非表示/違反報告)
狗 - ひよこの子さん、こんにちは。普段は作品にコメントとかしないのですが、面白すぎてしてしまいました。ひよこの子さんの作品は、伏線の回収などが丁寧で、見ていてとても楽しいです。お体に気をつけて更新頑張ってください。応援してます!長文すみません! (2021年8月9日 20時) (レス) id: 3a2d3af60d (このIDを非表示/違反報告)
黄山まる(プロフ) - めぇぇぇぇっちゃゃゃゃ面白いです!!!!!!好きです!作ってくださりありがとうございます!!! (2021年8月9日 16時) (レス) id: ecd777805d (このIDを非表示/違反報告)
黒月 - どこがで見たことのある作者様や〜と思ったらほとんどの作品読ませていただいてました今の今まで気づかず申し訳ありません()どの作品も大好きですスッゴく面白いです作ってくれてありがとうございます!!! (2021年8月8日 23時) (レス) id: d980d1e7aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年8月4日 19時