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翌朝、Aはベッドから降りて、ショッピを起こした。
「おはようございます。ショッピ殿」
「おはよ。つか、殿呼びやめへん?かたっくるしいわ」
「ショッピ……様」
「それも……なんかなぁ」
「ショッピさん」
「……まあ、ええわそれで」
グッと大きく伸びをしたショッピは、ソファから立ち上がって、Aを見下ろした。
「ショッピさん。早く出て行ってくれますか。着替えるので」
「あっ、すまん」
慌てて部屋を飛び出したショッピ。Aは、着替えを済ませて、写真の表面を撫でた。
「……っ!!!」
悔しい。何も感じなくなってしまった自分が。
昔は、この写真を見てボロボロと涙を流していたのに。もう、悲しいという感情は薄れてしまって、妙な懐かしさだけがいつまでも残っている。兄の尊き命を奪った事件への、憤りも感じなくなってしまった。
「A。飯やで」
「あぁ、シャオロンさん。ありがとうございます」
「何それ、写真?」
「……なんでもないです」
これ以上、人に見られる訳にはいかないと、Aは写真を隠した。食堂へ向かい、自分の席についたAは、パクリとサラダを口に含んだ。
「今日のレタスは凄くシャキシャキしてますね」
「そうかぁ?」
他愛もない話をしていた時。Aは、背中が突如熱くなったのを感じた。数秒後、切り裂くような痛み。
「っ!?」
「何してんねんお前!!!」
「押さえろ!!」
チーノとゾムに押さえられた男の手にはナイフが握られていて、ようやくAが刺されたのだと理解出来た。ドクドクと背中から溢れ出す血。
「……誰に手ぇ出してんねん、お前」
Aを刺したのは、4番隊の兵士だった。4番隊隊長であるショッピは、男の胸ぐらを掴んで責め立てる。しかし、男は目に涙を溜めて、Aを射殺すように睨みつけ、叫んだ。
「離せ!!!俺は、そこの女を殺さなきゃ気が済まねぇ!!!俺の親友は、M国の毒ガスで、苦しみ悶えながら、目の前で死んでいった!俺は、なんにもしてやれなかった。アイツを殺したお前が、なんで俺よりも良い待遇受けて、呑気に飯食って、生きてんだよ!!!」
「だからって、Aを殺すのは……!!コイツは、もうM国のAちゃう。我々国のAや」
「じゃあ、隊長方は、幹部の誰かが殺されたとして、同じ状況で黙っていられますか!?」
「っ、それは」
「自分勝手なんですよ!皆!!!!」
「でも、Aはええ仕事しとるし、貢献している」
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はちみつ(プロフ) - 1章お疲れ様でした!2章も頑張ってください! (2021年8月11日 17時) (レス) id: 3af09653e7 (このIDを非表示/違反報告)
りの(プロフ) - ひよこの子さん!まずは1章お疲れ様でした(; ;)やっぱり前作といい今作といい伏線かな...?と思われる描写がいくつかあり2章、3章がめっちゃ楽しみになりました!毎日ほんとに大量更新ありがとうございます...毎日の楽しみです...!体調に気をつけて頑張ってください! (2021年8月11日 1時) (レス) id: d2abe96452 (このIDを非表示/違反報告)
狗 - ひよこの子さん、こんにちは。普段は作品にコメントとかしないのですが、面白すぎてしてしまいました。ひよこの子さんの作品は、伏線の回収などが丁寧で、見ていてとても楽しいです。お体に気をつけて更新頑張ってください。応援してます!長文すみません! (2021年8月9日 20時) (レス) id: 3a2d3af60d (このIDを非表示/違反報告)
黄山まる(プロフ) - めぇぇぇぇっちゃゃゃゃ面白いです!!!!!!好きです!作ってくださりありがとうございます!!! (2021年8月9日 16時) (レス) id: ecd777805d (このIDを非表示/違反報告)
黒月 - どこがで見たことのある作者様や〜と思ったらほとんどの作品読ませていただいてました今の今まで気づかず申し訳ありません()どの作品も大好きですスッゴく面白いです作ってくれてありがとうございます!!! (2021年8月8日 23時) (レス) id: d980d1e7aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひよこの子 | 作者ホームページ:
作成日時:2021年8月4日 19時