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17歳になった。
朝起きてから、人の前を通るたびに
おめでとうございますとお祝いされる。
みんな優しくて暖かい人たちばかりで大好きだけど
今日はあんまり、その言葉も嬉しくない。
「おめでとう、A。
今日はとびきり綺麗にしてもらいなさい」
「……ありがとう、お父様」
お父様の大きな手で頭を撫でられるのは好き。
けど、やっぱり今日はその手も笑顔も
私の表情を曇らせる原因みたいだ。
うちの家はいわゆるお金持ち。
今時あるのかと疑われるかもしれないけど
将来の結婚相手も決まっている。
そして、今日はその人に初めて会う日だ。
「失礼いたします。お召し物をお持ちしました」
「わぁ、可愛い服…！」
「ふふ、気に入っていただけて嬉しいです」
部屋に入ってきたメイドさんが出してくれたワンピースは
初めて着るもので、わくわくした。
自分じゃできないような、
控えめだけど魔法みたいなメイクに
感動してついつい鏡を何度も見てしまう。
相手の人、同い年の人って言ってたけど
どういう人なんだろう。
凄く偉そうな態度の人だったらどうしよう。
かといってあまりにも積極的な人だと
引いちゃいそうだし…。
「お相手の方、すごく素敵な方と聞きましたよ」
「ほ、ほんと？」
「はい。なんでも青木さんの昔からのお友達だとか」
「青木の…？後で聞いてみようかな」
「ぜひそうなさってください」
ふわっと笑いながら安心する言葉を
かけてくれるメイドさん。
車に乗って待ち合わせ場所まで移動するときに
運転席の青木に向かっていくつか質問してみた。
優しくて気が利いて大人っぽい。
なんでも相手の方はそんな方らしい。
怖くはないけど…逆に私が釣り合うか不安。
ヘマしたらこいつないなって思われるかもしれない。
「…心配ですか？」
「んー、私が好かれるかなって」
「ふふ、その気持ちがあれば上手くいきますよ」
「そ、そう…？」
「はい。あ、あそこにいる人です。噴水の前の…」
「わ、分かった…ありがとう、青木」
「楽しんでくださいね」
少し青木のおかげで気持ちが楽になる。
車を停めると青木がドアを開けてくれて
もう一度自分で気持ちを入れて
その人の方へと向かった。
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作者名：むう
| 作成日時：2021年2月23日 21時
