Epilogue ページ34
机の上に飾ってある、古い写真を撫でる。
これは10年前に世界大会で優勝したときの集合写真だ。
この写真を見るだけで、あの頃の気持ちが鮮明に思い出される。
たったひとことの言葉で胸が躍ったこと。
逆に、たったひとことの言葉で沈んだ気分になったこと。
自分に自信が持てなかったこと。
どうしようもなく幸せだった日のこと。
“甘酸っぱい”みたいな言葉じゃ表しきれない、そんな日々が、私を成長させてくれた。
「何見てるんだ?」
貴利名は私の手元を覗き込んで、微笑んだ。
「FFIか、懐かしいな。」
「ねえ、私に告白してくれた日のこと、覚えてる?」
彼は照れくさそうに笑った。
「なんだよ急に。もちろん、覚えてるけど。」
あの頃のように胸の奥がしゅわしゅわすることは、もうない。
今思えばあれは、10代特有の感情だったのかもしれない。
苦しかったはずのあの感覚が、不思議なことに今では懐かしい。
あの頃から変わらずお気に入りのソーダを、コップに注ぐ。
口に流し込むと、砂糖の甘い味がして、同時に舌がぴりっとした。
やっぱり懐かしい。
間違いない。
これは私の、青春の味だ。
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ゆい - キャー (2020年2月15日 13時) (レス) id: 2c2dc05fa8 (このIDを非表示/違反報告)
◎SaE(プロフ) - ぴーすけさん» そうなんですね笑 ええ!怖い話面白いじゃないですか!苦手なんですか…わかりました!わざんざコメ返しして下さり有難うございました!またどこかで!! (2019年10月6日 23時) (レス) id: 522d62b950 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーすけ(プロフ) - ◎SaEさん» 多少黒歴史なので恥ずかしいです。(笑)でも、記憶に留めていただいて、そんなことまで言っていただけて本当に嬉しいです!こちらこそありがとうございます!!私、怖い話大の苦手なんですよねえ(汗) (2019年10月6日 20時) (レス) id: d12c541ec5 (このIDを非表示/違反報告)
◎SaE(プロフ) - ぴーすけさん» 霧野咲って見覚えあるな、と思いまして笑 よく考えたら作品沢山読ませてもらっていました。イナイレ こんなにハマったのも霧野咲さんの作品を読んだことも一つだと思います、有り難うございました!あと私もイナイレシリーズで怖い話書いてます。良ければ是非! (2019年10月6日 5時) (レス) id: 522d62b950 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーすけ(プロフ) - ゆーみやンさん» ありがとうございますっ!!! (2019年10月4日 22時) (レス) id: d12c541ec5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴーすけ | 作成日時:2019年9月16日 11時