ボクラノ Love Story (ページ4)

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形見（紫×赤）ページ4

あの男が居なくなってから俺はすぐに仕事を辞めた。必要最低限の物だけの荷物を持って思い出だらけの家も売った。正直、シゲとの思い出深いあの家に帰るとシゲが左目の下に出来た笑窪と大きな口で「おかえり！はまちゃん！」って出迎えてくれる気がしてしまう。もうシゲはこの世には居ないのに。
シゲの形見の3.5kgを背負い1人で目的地もなく歩いていた。これが今持てる俺の唯一の武器。この武器でコードを鳴らしてあの男を泣かせたあの夏をまだ忘れられないでいる。

俺とシゲが初めて出会ったのはライブハウスだった。俺はその時ライブの裏方のバイトをしていて、シゲはグループを組んで演奏予定だったが、ギター担当のメンバーが諸事情で来れなくなってしまった。ライブハウスの中でギターが出来るのは俺しか居なくシゲにお願いされて急遽出ることになった。俺も昔はグループを組んでギターをかき鳴らしていたが、メンバーとの意見がだんだんと合わなくなり解散になってしまった。

紫「コードは頭に入ってるけど久々にお客さんの前で演奏するから間違ったらごめんなぁ・・・」

赤「いやいや！こちらこそいきなり頼んでしもうて申し訳ないです。ちゃんとお礼はするんで！」

と励ましてくれたシゲ。ライブもミスはあったけどシゲがらカバーしてくれて盛り上がって無事終了した。ステージ上のシゲがカッコよくて、汗もキラキラと輝いてキレイで魅入ってしまいミスってしまった事は秘密。ライブハウスの片付けを終えてライブハウスから出てくるとシゲが待っていた。

赤「濱田さん！お疲れ様です！今日はほんまにありがとうございました！この後ご飯行きませんか？！」

紫「お、お疲れ様。もしかして終わってからずっと待っててくれてたん？」

赤「はい、そうですけど・・・もしかしてダメでした・・・？」

紫「ちゃうちゃう！結構待ってたやろ？言うてくれたら良かったんに・・・」

赤「俺が濱田さんとご飯食べに行きたくて勝手に待ってただけなんで！あっ・・・もしかして先客居てました・・・？」

シゲはその大きな目を上目遣いで俺の目を見つめてきた。先客なんて居なかったし、コンビニでご飯を買って家で食べよう思っていた。わざわざ俺の為に待っていてくれたしここで断るのもバチが当たるなと思い

紫「そんなん居るわけ無いやん！よし！行こか！」

赤「よっしゃ！俺、おすすめのお店知ってるんすよ！そこ行きましょ！」

と話しシゲのおすすめのお店でご飯を食べることになった。