ヒトツメリッパー殺人事件 (ページ5)

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ヒトツメリッパー殺人事件5 ページ5

「幸葵くんは花とか好き?」
「まあ、嫌いではないです」
「白崎って結構迂遠なものの言い方するよな」
「俺がどんな物言いをしようと関係ないでしょう」
「まあ、そうだけど」
そんな他愛のない話をしながら、三人仲良く歩く帰り道。僕は不穏な話題のことは忘れて、一時の会話を楽しんでいた。幸葵くんは無愛想だが、それでも目が微笑んでいる。表情変化の乏しい彼だが、こういう目をして楽しんでいるのを見るのはこういう帰り道の他愛のないやりとりでままある。案外親しみやすいと僕は思うのだけれど。
そうして歩いているうち、春子さんの携帯が鳴った。
「あ、ごめん。……はい」
電話を受けたらしい春子さんを僕と幸葵くんが眺める。何故だかだんだんと春子さんの表情が青ざめていって、電話が切れた。
「どうかしたの?」
「悪い相楽、急に用事ができたから、今日は帰る」
じゃあね、と心配しつつ手を振り、ちょうど幸葵くんとも別れ道だったので別れる。
そこで通った路地裏で、

僕は、ヒトツメの殺人鬼に出会った。

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