ヒトツメリッパー殺人事件 (ページ3)

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ヒトツメリッパー殺人事件3 ページ3

そんな罪な男、汀哀音の難点は、言うと微妙な心地になるのだけれど、ブラザーコンプレックスなところ。
幼い頃から僕によくなついていて、よくよく周りに「ぼくのお兄ちゃんなんだからな! だれにもやらないぞ!」とか言っていた。幼稚園とか、小学校までなら可愛らしいと思える。だが中学生にもなってそれはないと思うぞ、口には出さないが。
哀音が可愛くないと言えば嘘になる。なんだかんだ、僕を大切にしてくれる弟が愛しいのだ。
夜8時。夕食を食べ終え、春子さんが帰宅する。
夜の女の一人歩きは危ないから、と哀音がついていく。罪な男だ。送り狼になるなよ、と茶化し、ならねぇよ! と突っ込まれるところまでがデフォルトである。夜なので春子さんの顔色はよくわからないが、俯いているので、たぶん恥ずかしがっている。
まあ、こういう紳士的で優しいところもあるんだよ、うちの弟は。

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