ヒトツメリッパー殺人事件 (ページ14)

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ヒトツメリッパー殺人事件14 ページ14

「う、そ、でしょ……」
目の前の光景が信じられない。
女子にしては高い背丈、長い四肢は地面にだらんと俯せで広げられていて、腹部からひどく血を流している。凶器で何度も引き裂いた跡が見られる。幸葵くんが言っていた通り、まるでジャック・ザ・リッパーのような犯行だ。
ジャック・ザ・リッパーとは、かつてロンドンで女性を残虐に殺して回った殺人鬼。日本では「切り裂きジャック」の名でよく知られている。
「春さん、春さん!」
揺さぶったのは、哀音。僕も恐る恐る、その体に触れて見ると、体温が失われつつあるのがわかった。
腑に落ちない。
今揺さぶっていることからわかる通り、哀音はついさっきまで僕といた。まだ体温の残る体は、つまりついさっき殺されたということ。ヒトツメリッパーは、哀音じゃない。じゃあ、誰が。
そう思ったとき、目の前にあの一つ目の殺人鬼が現れ、その仮面を外した。
そこには見知った顔。歪んだ喜びに笑みを浮かべている。
「だから言っただろ? 傍にいるって」
──白崎幸葵、その人だった。

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