ひとつだけ、

2 ページ2

毎年恒例になってるバーベキュー。



うちとお隣さんで始めた行事みたいなもの。



夏休みの始まる頃にいつもやってる。



子供の頃はわくわくして、とても楽しかった記憶がある。



年頃になってもいろんな世代の集まるこの行事だけは、楽しみにしてた。




去年は彼も呼んだっけ…



それを思い出したら、一気に憂鬱になる。




どうしようかなぁ。



みんなに突かれそうでやだな(汗)





・




「姉ちゃん、バーベキューまたあいつ来るの？」



弟のヨソプに聞かれてしまった。



「あいつって？」



なんて去年のことはなかったことにしようと悪あがき。



「去年連れてきたやつ、また来んの？」



別れたことはまだ家族に話してない。



「…来ないよ、


　別れたから」



別に傷ついてるわけでも落ち込んでるわけでもない。



けれど、この弟には言いたくなかった。



またバカにされるかと覚悟をしたんだけど。



「ふーん、そーなんだ」



そう言って目の前から消えた弟に拍子抜けした。





・

3→←1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す