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少し間を置いて、少年に流し目を送った。少年は言葉に驚いて、或は言葉の意図が掴めないで、驚きや困惑の入り混じった顔をしていた。
「……
(＿＿私が『強い』のかどうかは、別にしてね)
Aはそっと心の中で呟いた。
「今の時点の強さなんて、余りに単純だ。私は君位の齢じゃ酷い泣き虫だったし、こんな事を考える事すらできなかったよ」
……大嘘だ。
彼女の眼元に泣き黒子があるのは、彼女が生来泣き虫だったかどうかは正確な因果性はない。彼女が少年の齢頃、泣き虫だったというのも嘘だ。
＿＿真摯に、向き合おうとしたから、嘘を吐いた。
何も、全てをありのまま、正直に居る事だけが、真摯に向き合う手段ではないと言う事を、解って居たのである。
「……だから、君は考えないと。自分を『守る』ために『強く』なる。その強さが、あくまで自分を守るだけに終わるモノか。……その先を目指すのか。目指すべきは何なのか」
Aは言葉を一度切って、
「宿題をあげよう」
＿＿強さとは、何だと思う？＿＿＿
……空に静寂が染みて行った。柔く、空の中に妙に冷たい春の風を切りながら、Aは次の言葉を選んだ。
「変な奴なんてね、幾らでも居るもんさ」
ぽつんと言った。事実だった。Aがそう思い至るのに苦労はしない程、彼女の周りには俗に言う『変な奴』が集めた様にいた。
「別に君は、君の姿自身を恨んでも良い。変かどうかは、周りが、自分が決める。折り合いを付けなきゃいけない事も、屈する事も多いだろう。今の私もそう。だけど、全てを諦めてはいけないよ」
赤い屋根の小さな家が見える。少年の家だ。
Aは『イーグル』のスピードを落した。
「……子供の時に限らないけど、特に子供の時の世界って言うのは驚く程狭い。だから、眼が
Aだからこそ言える。
自分と同じ道を歩めとは思わない。だが、其処に確かに認めた豊かな世界が、少年にも開ける日が来れば良いと、Aは心底思った。
「いつまでも一つの所に釘付けになるな」
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遥彼方 - 。負け犬団長さん» コメント有難うございます！その辺りは本当に書いていて楽しかったので、そう言って頂けて感涙です。是非ゆっくりと楽しんでらして下さい〜 (2020年3月2日 1時) (
レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
。負け犬団長(プロフ) - 主ちゃんの怒ったシーンの描写が普段穏やかな主ちゃんとのギャップ？で読んでいてとでもドキドキしました！それと主ちゃんの怒りがひと段落したところでの主ちゃんの空への思いが文章からあふれていてとてもきれいです！ (2020年3月1日 22時) (レス) id: 10fa209271 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 瑠奈さん» コメント有難うございます！前作では大変お世話になりました。勿体無い程のご評価に舞い踊る程の喜びを感じております。此方こそ有難うございます！先は長いですが、楽しんで頂ければ幸いです。 (2019年12月7日 16時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
瑠奈 - 蒼から来ました〜前作も感動し、今作の面白さ、読みやすさに感激している今日この頃です。ありがとうございます (2019年12月7日 14時) (レス) id: 8b40ad9508 (このIDを非表示/違反報告)
遥彼方 - 桜舞姫・蝶月姫さん» 有難うございます！続編移行に注力します……少し（？）お待ちくださいませ……！ (2019年12月7日 1時) (レス) id: b1e6400f22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遥彼方 | 作成日時：2019年11月13日 0時
