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章大said
今日は大倉に会いに行く日!
1週間くらい来れなかったからめっちゃ楽しみ。
はよ会いたいなってルンルンしながら廊下を歩く。
ーガラガラガラガラ
章「大倉!来たで!」
忠「…ヤス…」
あからさまに元気がない大倉にびっくりしたけど、
その理由はすぐに分かった。
忠「いややケホッこれだけは嫌やった。」
そう言って握っているのは大倉の髪の毛。
忠「ここ3日ずっと調子悪かったんよ。
だけど…頑張ったのに。耐えた…のに」
大倉は身体だけでなく
精神もやられてきてる気がした。
忠「俺ケホケホ…頑張ってるよね?」
章「うん。すんごく頑張ってる。」
忠「じゃ…なんでなん?」
章「辛いやんな…大丈夫やよ?」
忠「大丈夫ちゃうよ…もう…」
忠「ヤス…もう嫌や。俺もう死にたい。」
章「えっ?」
空耳やんな?
大倉がそんなこと言うはずないもんな。
俺どうにかしてる。
忠「やからケホッ死にたい。
抗がん剤もやめて、楽になりたいんよ。
こんなに…苦しみたくないねん。
ヤス…俺を殺してくれへん?」
空耳…やない
確かに目の前で大倉が言ってることやった。
章「そんなこと…何があっても言ったらあかん。
俺には大倉は殺せない。
大倉は生きなあかん。
待ってる人も沢山おんねんで?
分かるやろ?」
忠「分かるやろ?って
じゃあヤスには
この目が見えない苦しみも
抗がん剤の副作用の辛さも分かるんか?
思うように動けへん!
今まで当たり前にできてたことも
出来ひんようになって…
ひとりじゃどこにも行けない。
何も見えないこの苦しみを!」
章「…」
忠「やったら!
そんなこと言わんといてや!ゲッホゲホゲッホゲホ」
章「大丈夫か?大声出したらあかんよ…」
大声を出したせいで咳き込んでしまった。
俺は急いで背中をさする。
忠「もう…帰ってくれへん?」
章「でも…」
忠「帰ってや!」
章「ごめん…帰るな?」
大倉の圧に負けて出てきてしまった。
今大倉を1人にしてはいけない気がしたけど
俺が行ったところで逆効果やろうから
みんなに連絡して帰ることにした。
ドアを閉める時に見た大倉の顔が頭から離れない。
もっと大倉の気持ち分かってあげなあかんのに…
大倉を1人取り残したない。
大倉に心配かけたない。
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作者名:黄色担 | 作成日時:2019年10月17日 23時