【進撃の巨人】ただ、そばにいたいだけなのに…【ジャン】 (ページ10)

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8.図星ページ10

No side

一方こちらは医務室。

エレンが扉を開くと目の前にいたのはA。

エレンの腫れ上がった頬を見ると
Aの頭の中には瞬時にジャンの顔が。

罪悪感でいっぱいのAはエレンの手当てをしながらごめんなさい、と何度も謝った。

自分のことのように謝罪をしてくるAに
疑問を持ったエレンはふとこんな質問をしてみた。

「Aって…ジャンのこと好きだろ？」

「うん、もちろ………

って、えっ！？」

それは質問というよりかはもう既にわかってることを確認するような感じだ。

「なっ何言ってるのエレン！」

図星なのだろうか。
Aの顔は真っ赤になっていた。

「違うのか？だっていつも一緒にいるだろ」

「そ、それは…エレンとミカサが一緒にいるようなもんだよ!!」

我ながら良い例えができたと思うAだが、

「いや、俺とミカサは家族みたいなもんだし

お前らとは違う気がするけど…」

違う、という言葉で終わり。

実はAも、ジャンのことを家族同然に慕っていた。
それは昔起きたある事件がきっかけだった。
その事件からAはジャンを命を懸けて守ると決めたのだ。

けれど最近はA自身もジャンのことを“家族”としてではなく、何か“別の感情”として好きなのではないか、と思っていたところなのだ。

「…でも確かに、ジャンとはずーっと一緒にいたいって思うよ

希望の兵科が違うからもう無理だと思うけど…」

Aが俯き、黙ってしまったために
部屋の中はとても静まり返った。

その沈黙を破ったのはエレン。

「あんなやつのどこがいいんだ?

毎日喧嘩吹っ掛けてくるし立体機動の自慢ばっかするし
Aだって苦労してんだろ…」

馬鹿にしたような、けれどどこかでAを励まそうとしてくれるエレンのその言葉を聞いて
Aは少し笑った。

「確かにジャンは自己中で周りのこと考えてないように見える」

「そうそう。それに何か気に入らないことあるとすぐ突っ掛かってくる」

「そのわりには自分が文句言われるとすぐ怒って…」

二人で談笑する姿はまるで仲の良い恋人のよう。
本人たちはそうは思っていないが端から見ると正にそう見えるだろう。

…そしてある少年から見れば

意中の少女が自分のライバル視している少年と顔を見合わせこんなに仲良く喋っているのを見て

気分が良いはずがなかった。

.

(明日になればまたちゃんと話せるはず…)

最後の希望を持って少女はそう思った