ひとめぼれ

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「人を疫病神みたいに。
元々俺のおかげやろが」


「あい、そうです。
お淳太様のおかげです！
また洋服選び頼むわ」


実は、クリスマスデートのコーディネート、
淳太に頼んで、上から下まで揃えてもろてん。


「はあ？自立しろ。
いうか、神山くんに選んでもらえ」


「まだそこまでの仲ちゃうねん。
微妙な距離やねん。
まあ、一番甘酸っぱいうきうきする距離なわけやけどな」


「なあしげ。
一回殴ってええか？」


「人の幸せを願えんとは。
なんちゅう狭量な男や。
やから恋人出来へんねんで」


「余計なお世話じゃ、ぼけ。
はよ用意しろ。
顔合わせ行くで」


「あーい」


洗面所戻ったけど、
はっとして。


「あっ、原稿読んだらあかんからな！」


顔出して、それだけは言うとく。


「読まへんから、はよせえ」


どやされたわ。



















主演映画の顔合わせやねんけどさ、
現場マネやなくて、
わざわざ淳太が付いてくるって。


理由は絶対に脚本の桐山さんやろ。


聞いたわけちゃうから、
単なる俺の勘やねんけど、

淳太は後輩の桐山さんに惚れとるんちゃうかな。

桐山さんの方はどうか知らんけどな。


長年の付き合いやから、
ええ関係崩したくないねやろな。


なんとなく、その気持ちは分かるし。


俺が出しゃばるんもちゃうよなって、静観中。



今度の俺は、刑事。

やっぱ、桐山さんの脚本は凄まじく素晴らしいて、圧倒される。


さわり読んだだけやのに、
早くもわくわくしてきたもん。


終わって廊下に出たら、
桐山さんと淳太は、

二人だけしか分からへん話で盛り上がってる。
　

ええ雰囲気に見えんこともないねんけどなあ。


そこに、ちょうど、
この局で一番のヒットドラマ手掛けとる、
プロデューサーの小泉さんが通りかかってさ。


２月末放送の特番のドラマの主演を打診された。

願ってもない話やけど、
写真集の発売イベントも控えとるし、
忙し過ぎんか？


「是非喜んで！スケジュール調整します！」


映画の撮影始まるってのに、
淳太は二つ返事。


「重岡くん、脚本は大御所の村山先生なんで楽しみにしててね」

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