８ ページ40
そう言いつつ、傷付いてる様子はなくてさ、
俺だけが、この近過ぎる距離に、
緊張してる。
夜景見てるふりで、
そっぽ向いたら。
指先に、微かに、何か触れた。
びっくりして、
反射的に、自分の手、ぎゅっと握ろうとした、
その一瞬前に、
指先取られて、繋がれてた。
「俺が怖いから繋いどいて」
甘ったるい声で、耳元に囁かれる。
「嘘つき」
ドキンドキンドキンドキン。
心臓、壊れそう。
「バレたか」
へへって、いたずらっ子みたいに笑う重岡さんに、
釘付けになる。
繋がれた指、振り払うことも出来るのに。
夜の魔法にかかったみたいに、身動き出来ひん。
そこから、重岡さん、優しい微笑んでるだけで、
急に、お喋りやめるもんやから。
俺も何話してええんか、分からへんなってしもて。
この狭い空間が沈黙で包まれてる。
言葉はなくても、
指先から流れてくる、重岡さんの想い。
もしかしたら、俺の迷いも、
全部、繋がった指先から流れてもうてんのかな。
それがやっぱり、怖い。
俺が必死に積み上げた防波堤、
最も簡単に崩してくるねんもん・・・
ゆっくりと、降りていく観覧車。
物凄く長い時間に感じてたのに。
最後に、地上に降りて、
外側から、扉が開けられる瞬間。
終わってしまう。
そんな風に思った。
強引に、夢の世界から、現実に引き戻された気がした。
繋いでた指は、離れてしもた。
寂しいやなんて、俺、おかしいよな。
失恋したてで、孤独感を紛らわせたいだけや。
もうええ加減、言い訳、思いつかへんなってきた。
人通りもまばらな深夜の舗道。
走れば、終電に間に合うかもしらんけど、
わざと、ゆっくり歩いてる。
通り過ぎてくタクシーの賃走の文字に、
ほっとしてる自分。
・・・その理由なんか、知ってるけど、
まだ認めたくない。
「重岡さん、俺、脚本、返さなあかん・・・」
「うん、でも、
一旦返してもろて、
書き直し終わったら、
あの原稿は神山くんに貰って欲しい」
「ええん？」
「勿論やで。
神山くんに捧げた脚本やし」
「ほんまなん？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 461人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
fool(プロフ) - stcさん» こちらこそ、いつもstcさんコメントに癒されてま〜す💕緑くん、いつ甘々モードになってくれるのか。赤くんと一緒にじれじれして下さい〜橙黄の恋の行方もお楽しみに💕まだ何も決まってませんが💦必死で考えます笑 (2022年5月29日 18時) (
レス) id: 5c064e1f18 (このIDを非表示/違反報告)
fool(プロフ) - 蒼乃碧さん» 誰にしましょ笑色々考えてしまってなかなか決まりません〜💦でもまあ、端役なので、あまり出番もなく笑赤くんには思いっきり嫉妬してもらいましょ💕 (2022年5月29日 18時) (レス) id: 5c064e1f18 (このIDを非表示/違反報告)
stc(プロフ) - いつも更新ありがとうございます。続編楽しみに待ってますね。ラブラブな赤緑、いつもキュンキュンさせてくれるので毎日の潤いでしかありません。 (2022年5月29日 1時) (レス) @page50 id: af827766fe (このIDを非表示/違反報告)
蒼乃碧(プロフ) - 誰と忘年会なのかしら…続きを楽しみに待ってます^_^ (2022年5月28日 22時) (レス) @page50 id: b2e7866667 (このIDを非表示/違反報告)
fool(プロフ) - ロバたけさん» ロバたけさ〜んお久しぶりです💕こちらこそリクエストありがとうございました🥰なんとかここまで来られまして✨グラグラ揺れてる緑くん、いつ完全に堕ちるのか楽しみにしてて下さい〜余力あれば橙黄描けたらなと思ってます🥰 (2022年5月28日 22時) (レス) id: 5c064e1f18 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：fool
| 作成日時：2022年4月27日 8時
