ひとめぼれ

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既読なったけど、スマホはうんともすんとも。


１分待って、せっかちな俺の限界来た。


重岡大毅5分でええから。お土産渡したらすぐ退散する。明日渡すよりええやろ?


神山智洋5分なら。



無理くり感は否めんけど、
オッケーしてもらえて、
天にも昇る心地。


マンションの下で待っとったら、
すぐに、神山くんが出て来てくれた。


部屋着なんかな？


ふわふわもこもこのパーカー着てやる。


なんちゅう破壊力。


鼻血出そうやわ。


「ごめんな、夜遅くに」


「いえ、いつも起きてるんで」


「やんな？
神山くんて、夜更かしさんよな。
身体壊してまうから、
早よ寝なあかんで？」


このセリフの何かがあかんかったらしいて、
神山くん、拗ねた顔になった。


それがまた可愛ええなんてもんちゃうねん。


「重岡さんこそ。
鍛え過ぎたり、
仕事も、無理したら駄目です。
今日も疲れてはるのに」


まさかの、そんな可愛い返しが来るとは！


「ありがとおな！
神山くんに心配されるなんて。
幸せ過ぎる」


「そういう、つもりやなくて」


下がり眉の困った顔。


「どうしても会いたなってしもて。
勝手に突き動かされてまうねん」


「また、そんなこと言うてはる」


伏せた瞳。

まつ毛が、揺れた。


その儚さに、吸い込まれて、抱きしめてまいそうで。


慌てて、


「これ、京都のお土産」


開けっぱなしの車から、
紙袋幾つか出してくる。


「こんなに沢山？
いつも悪いです。
俺、重岡さんに何のお返しもしてへんし」


「神山くんの喜んでくれる笑顔がお返しやで！」


「けど、そういうわけには・・・」


「気にせんと受け取ってや。
うちのチーフマネに、
人気の土産物店聞いたから、
外してはないと思うねん」


「中間さんですか？」


「そう。中間淳太な。
うちの事務所の幹部」


「あの人、偉い人やったんですね。
重岡さんの態度からして、
思ってもみませんでした」


淳太へのウザ絡み。

神山くんの前では、
控えめにしてるつもりやねんけどな。
　

「うえ、あれは愛あるいじりやねん！」


言い訳しとこっと。


「愛・・・？」

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