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ページ43

「うん。じゃあ、急いで探そう!」

私は老師父から教わった、解毒の草の形を頭に思い浮かべながら辺りを散策しだす。
すると。

「恩に着るよ! じゃあさ、礼として君、今晩は家(うち)に泊まっていきなよ!」

「え……?」

唐突な申し出に、思わず薬草を探す手を止めて、少年を振り返る。

「その恰好、追剥か何かにあったんだろう? そのままじゃ、どこに行っても怪しまれるぜ。大丈夫! 俺ん家、親父もお袋もいるし、変なことはしないから。お袋の古着を貰えるよう頼んでやるよ。家族が死んじまったなら、親戚を頼るとか落ち着き先を探してるんだろうけど、今の格好より、それ着て旅したほうがいいぞ」

「あ……。そっか。そうだよね」

私は、呆けたようにして頷いた。
私の服は、寝間着に大鵬に贈られた袿(うちき)を纏っただけのもの。
……せっかくの袿は、火事の炎でところどころ焦げてしまっていた。
息絶えた青蘭を抱きしめた時についたのか。――今まで気にしていなかったけど、どう見ても血の跡にしか見えない、赤黒い染みもある。

(確かに、このままだとどこにも行けないかも)

私は苦笑した。

「うん。そうだね……じゃあ、お言葉に甘えてもいいかな?」

「あぁ!」

少年が力強く頷いてくれた。

「そのためにも、早く薬草を見つけないとな」

「そうだね」

私は頷いて、再び薬草を探し出す。
少年も、辺りの草を必死にかき分けはじめた。


(――ここがどこかは分からないけど)

私は京に戻ろうと思っていた。
今日会った知らない少年も、いろいろあっても家族のために必死だ。
それは――。
必死に大鵬達を想った私と、変わらない気持ちだと思う。

だから、まずはこの人の役に立とう。
何があっても明るく生きる。……大鵬が愛した人間そのままの彼を。

そして、京に戻ったら……。

(――私は見届けよう)

――あそこで生き続ける人々を。
そう、ひっそりと心に誓う。




(私の命がある限り。……最期の刻まで見届けてみせるよ、大鵬)




――――あなたの愛したこの世界を。



【人喰い神の最後の花嫁(完)】

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設定キーワード:和風ファンタジー , 妖怪 , 羅刹   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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一花(プロフ) - 零玲飛(れいれと)さん» コメント有り難うございます。そう仰っていただけ、非常に嬉しいです。ここまで目を通してくださったことに感謝します!! 本当にありがとうございます。 (2015年1月28日 21時) (レス) id: c6c51ef31b (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - 感動して泣くかと思った。お疲れ様です。 (2015年1月22日 20時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 光珂さん» ありがとうございます。……誤字量の多さが(-_-;) しっかり読んでくださり感謝します。また、後日直します。そして、番外編の件……有り難うございます! おそらくひと月以上開けて、とか忘れたころになるかと思いますが、宜しければ、お願いいたします(多謝) (2015年1月15日 22時) (レス) id: c6c51ef31b (このIDを非表示/違反報告)
光珂(プロフ) - (続きです) 43話目の下から9行目 「まずはこのの人の」→「まずはこの人の」 だと思います! 一応番外編までは確認しようと考えておりますが、もし本編のみで良ければ返信くださると助かります。あ、遠慮はなさらないでくださいね。 (2015年1月4日 2時) (レス) id: 21af548d66 (このIDを非表示/違反報告)
光珂(プロフ) - 深夜にすみません。 37話目の下から16行目 「それだだけ」→「それだけ」。 40話目の13行目 「私をの力を」→「私の力を」。 同じく下から8行目 「温かな光のなで」→「温かな光の中で」。 41話目の9行目 「大鵬のい気配」→「大鵬の(いる)気配」。 (続きます) (2015年1月4日 2時) (レス) id: 21af548d66 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:一花 | 作成日時:2014年8月31日 10時

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