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一七章『終わりの刻(とき)は、突然に』 ページ16

*
山の頂上に降り立つ。
苔むした岩がいくつか転がっている。
それ以外は景色を遮るものはなくて、周りの山や空がよく見えた。
私たちは自分たちの背丈よりも大きな岩を選んで、それにもたれて地面に座る。
地面には柔らかな草が茂っていて、ふわふわして気持ちがいい。
見上げた空は抜けるような蒼。
そこから暖かな陽光が降り注ぐ。

「ふわぁ〜。眠くなりそう」

思わずあくびが出る。
う〜〜ん、と、思い切り両腕を伸ばした。

「寝るなよ」

青蘭に釘を刺された。

「朝早かったんだから仕方ないじゃん」

毒づきながら目をつぶる。
さわさわとほのかな風。
暖かくてくすぐったい。

「お前……ここに降りたのは……」

不満げな青蘭の声。

「わかってるよ〜だ」

ここに降りたのは朝ごはんのため。
だから。
温かな風に私の神通力を同調させる。
ふと。
風が吹く方角……、岩の陰ができている南側。
少し山を下った位置に水気(すいき)を感じた。

「青(せい)は、朱ノ姫からもらったお結び用意しといて。わたし、水くんでくる!」

「あんまり遠くに行くなよ」

「大丈夫、すぐ近くに湧水があるみたいだから」

「……そうか。じゃあ、これに入れてきてくれ」

そういって、青蘭が腰に巻いた紐につけてた、二つの朱塗りのひょうたんを渡される。
大きさはどちらも私や青が片手でもてるくらい。

「はーい」

私は笑顔でうなずいて。
左右の手で一つずつひょうたんを受け取った。

「そっちのひょうたんはいいの?」

私はもう一つ、朱塗りのひょうたんより一回り大きい群青に塗られたひょうたんを指さした。

「あぁ。これは大鵬様に、運んでほしいと言われた酒だ」

「……。あ、そう」

大鵬は賑やかなことが大好きで、酒宴を開くこともある。もちろん、お酒も好き。
青にまで持たせるのは少し呆れたけど。
それも、あっけらかんとして自由奔放なあの人らしい。

「じゃあ、行ってくるよ!」

「あぁ、Aはドジだから途中で転ばないよう、ゆっくり歩いて行けよ」

「……。余計なお世話だよ」

ため息交じりに笑って。
私は青蘭に背を向けて、西の方へ向かった。
あんまり待たせちゃ悪いから、少しだけ足早で。

10分ほど獣道をくだった。
少し歩いただけなのに、ずいぶんと景色が変わる。
背の高い木々の葉が日の光を遮って。……湿った土と、水の香りが濃いところ。
土がこんもり盛り上がって、こぽこぽと泡を立てるようにして、水が噴き出していた。

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設定キーワード:和風ファンタジー , 妖怪 , 羅刹   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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一花(プロフ) - 零玲飛(れいれと)さん» コメント有り難うございます。そう仰っていただけ、非常に嬉しいです。ここまで目を通してくださったことに感謝します!! 本当にありがとうございます。 (2015年1月28日 21時) (レス) id: c6c51ef31b (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - 感動して泣くかと思った。お疲れ様です。 (2015年1月22日 20時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 光珂さん» ありがとうございます。……誤字量の多さが(-_-;) しっかり読んでくださり感謝します。また、後日直します。そして、番外編の件……有り難うございます! おそらくひと月以上開けて、とか忘れたころになるかと思いますが、宜しければ、お願いいたします(多謝) (2015年1月15日 22時) (レス) id: c6c51ef31b (このIDを非表示/違反報告)
光珂(プロフ) - (続きです) 43話目の下から9行目 「まずはこのの人の」→「まずはこの人の」 だと思います! 一応番外編までは確認しようと考えておりますが、もし本編のみで良ければ返信くださると助かります。あ、遠慮はなさらないでくださいね。 (2015年1月4日 2時) (レス) id: 21af548d66 (このIDを非表示/違反報告)
光珂(プロフ) - 深夜にすみません。 37話目の下から16行目 「それだだけ」→「それだけ」。 40話目の13行目 「私をの力を」→「私の力を」。 同じく下から8行目 「温かな光のなで」→「温かな光の中で」。 41話目の9行目 「大鵬のい気配」→「大鵬の(いる)気配」。 (続きます) (2015年1月4日 2時) (レス) id: 21af548d66 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:一花 | 作成日時:2014年8月31日 10時

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