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廊下のあちらこちらに炎の柱が上がって、天井が崩れ落ちていた。
かつてかわいらしい雛の足で歩いていた館のモノ達がガラクタみたいに辺り一面に転がって、プスプスと音を立てて燃えていた。
それだけじゃない。
いくつかの血だまりと。……そこに沈む兵士(ひと)の姿があった。
彼らの背には何本かの矢が刺さっている。
……神様方は矢を使わない。
(流れ矢に当たった？)
「青蘭、大丈夫？」
青蘭は母親を人に射られたと聞いたから。
彼自身もその時、死にかけたと聞いたから。
嫌なことを思い出してないか心配だった。
「自分の仲間がいようとお構いなしに矢を射るなんてな。……やっぱり俺は人は好きになれない」
走りながらしみじみという青蘭の声は妙に落ち着き払っていた。
「だが、それだけだ。Aは大鵬様と老師父様のもとに無事にたどり着くことだけを考えておけ」
「うん」
――青蘭は強い、そう思った。
そう。今は何かを嘆いている場合じゃないんだ。
まだ大鵬と老師父の気配はするのだから。
彼らに会うことだけを考えよう。
そう思って、青の背にしがみつく手に力を込めた。
「それでいい！」
そう叫んで。
青は風の速度で館を駆けた。
*
――バン！
青は駆ける勢いそのままに、館の最深部に繋がる部屋……老師父の気配のする襖を突き抜けた。
衝撃で、私は青蘭の背から落ちて床を転がった。
青蘭自身も床を転がった衝撃で蹲っている。
「A……さ、ま？」
全身に矢や槍が刺さった状態で、なお立っている老人が掠れた声で私を振り向く。
それは、体中から赤い血を滴らす老師父の姿だった。
「老……」
凄惨なその姿に、なんと声をかけていいのかわからなかった。
老師父の前には兵士の人だかり。急な乱入者にあっけにとられた顔。
だけど、……皆、こちらを睨んだ怖い目をしていた。
「ほっほっほ。やはり、A様は戻ってこられたか。大鵬殿にとっては誤算やもしれませんのう」
これは愉快！ そう息も絶え絶えに言い放った老人は。
私の後ろの襖を指さした。
「お主の夫はその先じゃ！」
「……っ、ろ」
私が動けずに。でもなんとか師の名を叫ぼうとしたら。
「青蘭。何をぼさっとしておる！ はよう、大鵬殿の元に花嫁殿をお連れせい！」
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一花(プロフ) - 零玲飛(れいれと)さん» コメント有り難うございます。そう仰っていただけ、非常に嬉しいです。ここまで目を通してくださったことに感謝します！！ 本当にありがとうございます。 (2015年1月28日 21時) (
レス) id: c6c51ef31b (このIDを非表示/違反報告)
零玲飛(れいれと)(プロフ) - 感動して泣くかと思った。お疲れ様です。 (2015年1月22日 20時) (レス) id: 0bd3908221 (このIDを非表示/違反報告)
一花(プロフ) - 光珂さん» ありがとうございます。……誤字量の多さが(-_-;) しっかり読んでくださり感謝します。また、後日直します。そして、番外編の件……有り難うございます！ おそらくひと月以上開けて、とか忘れたころになるかと思いますが、宜しければ、お願いいたします（多謝） (2015年1月15日 22時) (レス) id: c6c51ef31b (このIDを非表示/違反報告)
光珂(プロフ) - (続きです) 43話目の下から9行目 「まずはこのの人の」→「まずはこの人の」 だと思います! 一応番外編までは確認しようと考えておりますが、もし本編のみで良ければ返信くださると助かります。あ、遠慮はなさらないでくださいね。 (2015年1月4日 2時) (レス) id: 21af548d66 (このIDを非表示/違反報告)
光珂(プロフ) - 深夜にすみません。 37話目の下から16行目 「それだだけ」→「それだけ」。 40話目の13行目 「私をの力を」→「私の力を」。 同じく下から8行目 「温かな光のなで」→「温かな光の中で」。 41話目の9行目 「大鵬のい気配」→「大鵬の(いる)気配」。 (続きます) (2015年1月4日 2時) (レス) id: 21af548d66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：一花 | 作成日時：2014年8月31日 10時
