戦いたくない ページ10
その答えに明らかに研磨は驚いていた。
「…一回行けば、クロももう来ないでしょ？」
「俺がなんだって？」
ぐわっと、目の前がクロの顔で埋まる。
ひえええ…と思いつつ、私はニコッと笑った。
「クロって残念だよねって」
「…クロの前くらい無理しなくていいのに。」
研磨が何か拗ねたように言う。
「うるさいなあ…仕方ないの。」
と、研磨をわしゃわしゃとした。
無理したくてしてるわけじゃない、こうなってしまうのだ。
にしても、久しぶりにバレーを生で見るとしたくなるなあ…。
「…何ウズウズしてんの？」
「…なんでもない。」
「ほら、してる。」
「してない。」
「してるよ。」
「してないの。」
小さな言い争いをしていると、クロが突然
「今日、家まで担いで送ってやるよ。」
と言って笑った。
正直、もう歩くのも面倒くさかったのでお願いすることにした。
「にしても、優しいね。どうしたの。今日地球終わる？」
と、クロに言う。
「この…僕が…優しいのは…ずっとです…。」
と、まるで教祖様のようなポーズをとる。
私は目を逸らし、
「…やめといた方がいい。」
と言った。
「ところでさ、練習入らねえ？
今日、あんま人来てなくてよ。」
「靴ないからやだ。」
「ほれ。」
クロが私にポイッと投げたのは、私が去年から部室に置きっぱなしにしてたシューズだった。
「いつのまに…。」
「クロ、ずっと来るの待ってたから…去年の…」
と、研磨が言いかけるとクロは研磨の口を慌てて押さえていた。
変なの、と思いつつシューズを履く。
久しぶりに履いたけど違和感はなく、唯一変なのは滑り具合だけだった。
靴の裏を手で拭い、拭った手をパッパと叩いた。
「3対3でもいいか？」
「うん。あれ？リベロでいいの？ポジション。
あと、チームの人嫌じゃない？」
私はクロにニコッと聞く。
クロは「話つけてくるわ」的なことを言ってチームメイトの方に行った。
「A、本当はしたかったんでしょ。」
研磨がふらふらと立ち上がる。
「まあ。」
「俺も、やろうかな。」
「え…研磨が…？」
「うん。」
私は慌ててこちらに向かってくるクロの元へと走る。
当たり前だ。
「クロ、研磨とだけは敵になりたくない。」
「そのことなんだけどよ…。」
研磨が、敵…！？
実は未だに研磨のツーアタック及びフェイントを人生一度も取れたことがない。
負け越し惨敗中。
この時、私の感情が一瞬だけ無になった。
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違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あ - 内容がすごいわかりやすいです。続き待ってます (2020年5月7日 22時) (
レス) id: 2b1a6cecc8 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - kajjjenさん» 読んで頂き本当に感謝です…！！それに面白いなんて言って頂けて嬉しいです…！！応援、ありがとうございます、更新頑張ります！！ (2020年4月6日 17時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 清川さん» 全然わかりやすいっすよ…！！そしてな、なんと！！？？そんな…嬉しすぎます…！！頑張ります！！本当にありがとうございます！！嬉しすぎて…(´；ω；｀) (2020年4月6日 17時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
kajjjen - コメント失礼します！初めてこの作品を読ませてもらいましたが本当に面白いです！応援してます(^^) (2020年4月6日 9時) (レス) id: 6e12a7e235 (このIDを非表示/違反報告)
清川 - hitoesasamiさん» 俺、文作るの下手だから、伝わってよかった^^ログイン出来てないからお気に登録できないけど、ログインしてたら絶対お気に登録してた。しかも俺の中で☆100くらいついてるw頑張れ (2020年4月1日 20時) (レス) id: bdf93be9d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：hitoesasami | 作成日時：2020年3月26日 3時
