検索窓
今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:36,877 hit

地獄の始まり そして記憶 ページ9

目が覚めると、またあの人が居た。
ない記憶ではあったが、私を蝕んだ恐怖や痛みなど体が覚えていたらしい。
私の体は震え出した。
そして、その震えは私の心まで恐怖で埋めた。
怖い。
何をされるのか、何をされたのかが分からない故に。


「今日は、失神されないギリギリで実験するね〜。
恐怖で体が動かない間も再生できるのかって云う目的でね〜。」


昨日よりその人は生き生きしていた。
そして、隠し包丁をするような感覚で私の体を刻んでいった。
私はやめて、と叫びそうになる。
しかし、その声は喉に来たときに消えた。

そっか、私が食べた人たちもこんな風に痛かったのか。

私が黙ると、その人はつまらなさそうな態度を見せた。
そして、更に傷つける方法を過激にしていった。
気を失いそうな寸前に、私は肉を食べさせられる。
気を失うことなく、私の身体中を痛みが駆け巡る。
それと同時に再生も行われる。

この日、私は痛み、絶望、悲しみ、苦しみ、何もかもを脳に刻み付けられた。

私は何も考えられなくなっていた。
その人何かを取りに行く時、残していった言葉が更に私を絶望に叩き落とした。


「そういえば、お父さんとお母さん殺されたのマフィアの敷地に入ったからだよ〜。
夜、海を見に来たでしょ?
それだよ〜。」


そう云い残した。確かに、そう云い残した。

今更、真実を知ったところで遅かった。
遅すぎた。

今更、探偵社に戻ってこの真実を伝えることもできないし、彼らが父と母が殺した人間の真実も分かりやしない。
分からないし、変わらない。

私が、関わることは何もかも何もかも遅かった。

このことも、中也さんに決断を伝えるのも、彼女を、あの夏の日、喰種が出る場所に行くのを止めるのも、幸せになる為の作戦も、何もかも遅かった。
何もかも。

そして、その人が何かを持って帰ってきた。
そして、また地獄が始まった。


地獄の中で、私は虚な世界を、虚な幻想を、遠い遠い始まりを思い出し、見ていた。
前の世界の記憶を、夢のような記憶を見ていた。

冬の日→←実験



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (96 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
127人がお気に入り
設定タグ:文スト , 転生 , 東京喰種
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

hitoesasami(プロフ) - 珈世さん» >>また、他にも評価が高い作品が多い中で、この作品を読んで頂きありがとうございました。 少しでも楽しませられたら幸いです。 本当にありがとうございました (2020年2月20日 7時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 珈世さん» ご指摘、ありがとうございました。本当に助かります…orzすぐ、誤字や誤った設定をしてしまう癖があり、誤字などがある作品の印象って悪くなると思うんです…。なので、珈世さんのような方がいらっしゃると本当に助かりますorz >> (2020年2月20日 7時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - Nightさん» >>また、文ストと混ると言うことは、文ストは好きだけどグロは苦手、と言う人も読めるような、マイナスな印象を与えず書けていたみたいで良かったです。 最後になりますが、他にも引き寄せられる作品がある中で読んでいただき本当にありがとうございました。 (2020年2月20日 7時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - Nightさん» Nightさん、コメントありがとうございます。内容を好んでいただけて、本当に嬉しい限りです…昇天できます…。それと、文ストと混ぜる、そして文ストの世界に転生する夢主が喰種という不思議な設定が上手く惹きつけられる要素になっているようで安心しています…orz >> (2020年2月20日 1時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)
hitoesasami(プロフ) - 夜雨ナナトさん» >> 最後になりますが、数多くの作品の中でこの作品を読んで頂きそして、応援していただき本当にありがとうございました (2020年2月20日 1時) (レス) id: 41b3c0e585 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:hitoesasami | 作成日時:2020年1月15日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。