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駆け足で部屋へ戻る。
グルッペンが起きていないといいのだけれど。
その願いは、扉を開けた瞬間に見えた不機嫌な顔に消え去った。
「お前に俺の気持ちが分かるか？」
「うん？」
突然の問いかけにフリーズする。
グルッペンの気持ち…？
「昨日しっかりとこの手に抱いて寝たはずのお前が！翌朝消えてる俺の気持ちが！お前に！分かるか！」
「ちょ、ちょ、ちょ、落ち着いてよ！ご、ごめん。」
興奮気味に詰め寄ってくるグルッペンを宥める。
そ、そんな怒るような事なのかな…。
背中に当たる扉と、グルッペンの体と腕に閉じ込められて冷や汗が垂れる。
上目遣いでヘラヘラと笑うと、グルッペンは溜息を零した後、私の肩に頭を乗せた。
「また、どこかへ連れて行かれたかと思った…。」
絞り出すように呟かれた言葉に、胸がきゅっと締まった。
そうだよね、やっと会えたのに突然いなくなったら心配するよね…。
この胸の痛みはグルッペンへの配慮を怠った自分への罰だ。
「ごめんね、不安にさせて。」
よしよしと、グルッペンの頭を撫でる。
６年はあまりにも長すぎた年月だった。
私たちはこれから、離れていた時間に募った寂しさや不安を埋めていかなければならないのだ。
「約束したでしょ？もう離れないって、私はどこにも行かない。」
「あぁ…。」
キュっと一度力を込めて抱き締められると、やっと顔を上げるグルッペン。
もう不機嫌な顔は消えて、少し申し訳なさそうな表情になっていた。
なんだか怒られた子供みたいで可愛い。
怒られたのは私の方なのにね。
「興奮して悪かった。」
「ふふっ、なんだかグルッペンが言うと別の意味に聞こえるね。」
「別の意味でもいいが？」
今度はにやりと悪戯に笑う顔。
コロコロと変わる表情が面白い。
腰を這う手をぺちんと叩く。
「だめだよ、もう朝食の時間だってひとらんくんが言ってたもん。」
「ほぉ、俺の腕から抜け出してひとらんと会ってたわけだな？」
「なんかその言い方だと浮気してるみたいじゃない？」
「違うのか？」
「違うでしょ。」
「ならちゃんと言葉にしろよ。」
顔を突き合わせてクスクスと笑う。
この６年でグルッペンは随分と甘えん坊になったものだ。
「私にはあなただけよ、グルッペン。」
「俺も。」
朝食には二人揃って遅刻だね。
それでもしょうがないかと、降り注ぐキスの雨に目を瞑った。
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しゅうな。 - 更新停止…初めて読みに来ましたがとても良いお話だと思いました！また更新していただける日を待ち侘びています。 (2021年11月23日 11時) (
レス) @page22 id: 474e2f0f3d (このIDを非表示/違反報告)
ノルン(プロフ) - 更新停止って知ってても凄くいい話だから何度も読みに来てしまう、そして続きが気になってしんどくなる… (2019年12月22日 19時) (レス) id: 265a916812 (このIDを非表示/違反報告)
チョコ氏 - 更新停止ｯｯ…いい所でｯｯ…気長に待ってますぜ！ (2019年10月7日 21時) (レス) id: 19440439ad (このIDを非表示/違反報告)
なな - 更新停止……ぐぬぬっ…主さん忙しいのかな？……更新待ってますから…ね？ (2019年9月7日 20時) (レス) id: 49b689c972 (このIDを非表示/違反報告)
さとりちゃん - 更新停止・・・ウッ・・・いつまでも待ってるよ。 (2019年4月7日 15時) (レス) id: 92b07cafca (このIDを非表示/違反報告)
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