君が足りない/gr ページ26
『グルちゃん不足で死にそう』
ベットに寝転びながら既読のつかないメッセージを見つめる。
嘘じゃない、本当に死にそうなんだ。
もう二週間も会ってない、声を聞いたのだって三日前だ。
しばらく会えないと言われた時に、こっそりグルちゃんの部屋から盗んだシャツ。
顔を突っ込んでも、すっかり匂いは薄れていてグルちゃんを感じることができない。
『グルちゃんの事、忘れそう。』
悪いのはグルちゃんじゃないけど。
会えない分せめて連絡くらい小まめにしてくれてもいいと思う。
私ばっかり好きみたいなのが悔しくて、嘘をついた。
『グルちゃん私の事好きじゃないでしょ?』
めんどくさいメッセージのついでに、ずっと聞きたかった事も聞いてみた。
私なら毎日だって声を聞いていたいし、一秒だって離れたくない。
だけどグルちゃんは違うじゃん。
『もう別れ―――
ヤケになって打ち込んだ文字が途中で消える。
真っ黒になった画面に映る泣き出しそうな情けない顔。
見ていられなくてスマホを床に落としたらゴトンと鈍い音がした。
壊れてしまったかもしれないけど、どうでもいい。
グルちゃんと繋がれないないなら、こんなものただのガラクタでしかない。
ぐしゃぐしゃにしたシャツに顔を押し当てて、少しだけ残ったグルちゃんの匂いを探そうとしたけど、ただじわりとシミをつくるだけだった。
温もりと汗の匂いで目が覚めた。
いつの間にか寝ていたらしい。
丸めたシャツはどこかへいって、それがあった場所には温もりを包んだパリっとしたシャツ。
久しぶりに感じるグルちゃんの体温と匂い。
乱れた髪に、仕事帰りのワイシャツにスラックスのまま、私をぎゅっと抱きしめて眠っていた。
一体いつ来たんだろう、今は何時なんだろう。
床に落としたスマホを手に取り、ボタンを押したが画面は真っ暗のまま。
充電切れか…壊してしまったのかも。
「…A、起きたのか?」
「うん、ごめんねグルちゃん。寂しくて嫌なこと言った。」
「いい、俺も悪かった。」
ほんの少しの会話だけど、充分だった。
そのまま朝まで抱きしめ合って眠った。
明け方、仕事に行くグルちゃんを見送った後でスマホに充電器を差し込んだ。
光る画面に壊れてなくてよかったと、安心するのと同時にメッセージを受信する。
『好きだ。』
『会いたい。』
『どうした?怒ってるのか?』
『返事をしてくれ。』
『今から行く。』
次々に届くメッセージとその倍ほどある不在着信の文字に胸がぽかぽかと温かくなる。
グルちゃん不足だった私の心はすっかり充電されてしまった。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - だいぶ前の小説にコメント失礼します。あなた様のエミさんの認識はどうなってるんですか…変態ですか……好きです。。。。。。。 (2020年12月2日 22時) (レス) id: 5e03690c33 (このIDを非表示/違反報告)
生真面目な炊飯器(プロフ) - あ、良かったーびっくりしたゾ(笑)というか見てますよ…!もう光の速さで短編集3へ飛んでったンゴ!そして幸せになりました(小並感) (2017年11月19日 9時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 生真面目な炊飯器さん» 垢間違えてました(笑)短編集3もできましたのでぜひ見て頂けると嬉しいですー! (2017年11月19日 1時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
生真面目な炊飯器(プロフ) - 短編2までお疲れ様でした♪次は3ですか!楽しみだー(*^^*)心ぐるぐるっ待ち♪してます(笑)いつも素敵なお話ありがとうございます! (2017年11月18日 6時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - ひらめさん» ひらめさんコメントありがとうございます!そして今まで気付いてなくてすみませんでした!(笑)シッマは難しいんですがコネシマスター達の為にもっと書けるように精進します!!今後も仲良くしてくださいね!! (2017年11月15日 19時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
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