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彼の趣味/rbr ページ24

ロボロくんは不思議な人。

「貸し出しお願いね。」

そう言って差し出された本。
『家庭の医学』
ロボロくんどこか悪いところでもあるのかな、そんな気持ちを見破られたのかカウンターの前に立つロボロくんはクスリと笑う。

「大丈夫、元気だよ。」
「そっか、ならよかった。」

ロボロくんが借りて行く本はいつもジャンルが統一してない。
最初はなんだったかな…確か、家庭菜園の本だった気がする。
次は、歴史の本。
その次は、恋愛小説。
昆虫図鑑、子供向けの絵本、相対性理論、エッセイ…。

本ならなんでもいいんじゃないかと思えるくらいにはバラバラ。
だから「本好きなんだね」と聞いたら、困った顔をして「そんな事ないよ」と言う。
それならロボロくんはすごく多趣味なのかもしれない。
だけどロボロくんはそんな私の問いに対しても

「趣味は今のとこ一つだけかな。」

そう言って図書室から出て行った。
一人残されたカウンターの中でうんうんと頭を捻る。
しかしいくら考えても今までロボロくんが借りた本に共通する物が分からなかった。


「今日はこれをお願いね。」

そう言って差し出されたのはミステリー小説。
私も読んだことがある名作だった。
犯人の正体が実は主人公だったという衝撃のラストのものだ。

「これも趣味に関係してるの?」
「そうだね。」
「ロボロくんの趣味って一体なんなの?」
「さぁ?これを返しにくるまでに考えてみてよ。」

分からないから聞いてるのにな。
最近はいつもその事を考えてると伝えたら、ロボロくんは嬉しそうに楽しそうに笑った。


「はい、これ返却お願いね。」

一週間後、ロボロくんが差し出したミステリー小説。
それを受け取って聞いてみた。

「これ面白かったでしょ?特にラストでびっくりしなかった?」
「うーん、見てないから分からないな。」
「え?なんで?時間なかったの?延長する?」
「というか今まで借りたのも見てないしねぇ。」

借りたのに見ていないって、なんでだろう。
内容ではなく本を借りる事が趣味なんだろうか。

「半分正解かな。」
「本を借りるのが?変わってるね。」
「そう?でもさ――

ロボロくんがカウンターからこちらへ乗り出してくる。


「借りてる間、俺の事考えたでしょ?」


いつもよりも少し低い声が、耳元で囁かれる。
バッと体を離して耳を抑えたらすごく熱くなっていた。

「じゃあね。」

にやりと笑って去って行くロボロくん。
今日は何も借りていかないようだ。
じんじんと痺れる耳を触りながら、やっぱり彼は不思議な人だと思うのだった。

彼女からの贈り物/utu→←添い寝の相手/tn



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ことこ(ドS娘)(プロフ) - だいぶ前の小説にコメント失礼します。あなた様のエミさんの認識はどうなってるんですか…変態ですか……好きです。。。。。。。 (2020年12月2日 22時) (レス) id: 5e03690c33 (このIDを非表示/違反報告)
生真面目な炊飯器(プロフ) - あ、良かったーびっくりしたゾ(笑)というか見てますよ…!もう光の速さで短編集3へ飛んでったンゴ!そして幸せになりました(小並感) (2017年11月19日 9時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 生真面目な炊飯器さん» 垢間違えてました(笑)短編集3もできましたのでぜひ見て頂けると嬉しいですー! (2017年11月19日 1時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
生真面目な炊飯器(プロフ) - 短編2までお疲れ様でした♪次は3ですか!楽しみだー(*^^*)心ぐるぐるっ待ち♪してます(笑)いつも素敵なお話ありがとうございます! (2017年11月18日 6時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - ひらめさん» ひらめさんコメントありがとうございます!そして今まで気付いてなくてすみませんでした!(笑)シッマは難しいんですがコネシマスター達の為にもっと書けるように精進します!!今後も仲良くしてくださいね!! (2017年11月15日 19時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひとちん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年10月19日 16時

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