気付けなかった初恋/gr ページ22
「グルちゃん大好きだよ。」
「はいはい。」
笑いながらお前が言う言葉をいつも適当に受け流していた。
その言葉は冗談でも言ってるようで、挨拶程度に軽く、毎日繰り返されたから。
「グルちゃん大好き。」
「分かってる。」
いつものように。
Aの言葉に読んでいた本から顔すら上げずに聞き流した。
「んもぉ、何回も言ってるのにな。」
「はいはい。」
「聞いてないでしょ。」
「聞いてる聞いてる。」
「ならいいや。」
んーと声を出しながら両手を上に伸ばした後、Aはスクっと立ち上がる。
「じゃあね、グルちゃん。また明日。」
「はいはい。」
いつもと同じ。
顔を見なくてもAがどんな顔をしてるかなんて分かっている。
分かっていた、はずだった。
「グルちゃんおはよう。」
「ん。」
違和感が訪れたのはしばらくしてから。
ふと、気が付いたのだ。
読んでいた本から顔を上げた時、いつも目の前にはAがいたのに。
鬱陶しいほどに好きだと言っていたのに。
最近は挨拶しかしていない、気が付くと目の前の席が空いている。
いつからそこにいなかった？
いつから好きだと言わなくなった？
「グルちゃんバイバイ、また明日。」
かけられた声に顔を上げる。
視線が合うなんていつぶりだろうか。
「最近言わなくなったな。」
「ん？あぁ…好きだって？」
「あぁ。」
「ふふっ、もういいの。」
いつからそんな風に笑うようになった？
いつからそんな風に思うようになった？
分からない、見ていなかったから。
Aの言葉に、態度に、胡坐をかいて。
傲慢な態度を取っていたから。
「じゃあねグルちゃん。」
「あぁ。」
今更引き留める権利なんて俺にはない。
Aがどんな気持ちで好きだと言っていたのか。
どんな顔で俺を見ていたのか。
俺には分からないから、知ろうとしなかったから。
ガランと空いた前の席も。
ぽかりと空いた胸の喪失感も。
俺の事を好きだと言って笑うAの顔が思い出せないのも。
全部俺のせいだから。
自分の気持ちに気付いた時にはもはや手遅れ。
そんな俺の、初恋だった。
「懐かしいよねぇ、あれから何年だっけ？」
「さぁな。」
「グルちゃんあの時寂しかったんでしょ？」
「さぁな。」
「だってさぁ、私が好きって言わなくなって一週間もしない内に泣きながら告ってきたじゃん！」
「泣いてないわ、捏造すんな。」
「ふふっ、ねぇグルちゃん。」
「なんや。」
「大好きだよ。」
「…俺も。」
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - だいぶ前の小説にコメント失礼します。あなた様のエミさんの認識はどうなってるんですか…変態ですか……好きです｡｡｡｡｡｡｡ (2020年12月2日 22時) (
レス) id: 5e03690c33 (このIDを非表示/違反報告)
生真面目な炊飯器(プロフ) - あ、良かったーびっくりしたゾ（笑）というか見てますよ…！もう光の速さで短編集3へ飛んでったンゴ！そして幸せになりました(小並感) (2017年11月19日 9時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 生真面目な炊飯器さん» 垢間違えてました(笑)短編集３もできましたのでぜひ見て頂けると嬉しいですー！ (2017年11月19日 1時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
生真面目な炊飯器(プロフ) - 短編2までお疲れ様でした♪次は3ですか！楽しみだー（*＾＾*)心ぐるぐるっ待ち♪してます（笑）いつも素敵なお話ありがとうございます！ (2017年11月18日 6時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - ひらめさん» ひらめさんコメントありがとうございます！そして今まで気付いてなくてすみませんでした！(笑)シッマは難しいんですがコネシマスター達の為にもっと書けるように精進します！！今後も仲良くしてくださいね！！ (2017年11月15日 19時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
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