怖いもの知らず/zm ページ16
暗い部屋に一人佇む。
自分以外に誰もいないはずなのにどこからか視線を感じる。
いる、絶対に何かいる。
ぞわりと背筋に走る悪寒、体は硬直して動かない。
足元から舐められるようなねっとりとした気配を感じ、視線を下ろせば―――
「おい。」
「いやあああああああ！」
テレビ画面にアップで写る目が窪んだ女の姿と、肩に置かれた手に絶叫する。
ヘナヘナと体から力が抜けてソファに倒れ込むと私の肩を掴んだ幽霊、ではなくお風呂上りのゾムが水滴を垂らしながら慌ててソファの背を乗り越えてきた。
「なんやA、どうしたん？大丈夫か？」
「ゾム…驚かせないでよ…。」
力なく涙目で横たわる私の頬にゾムの手が添えられた。
じんわりとした温かさがショックで疲労した体に染み渡る。
突然絶叫して倒れた私に心配そうな瞳を向けるも、テレビ画面に写るホラー映像に原因を察したのかゾムはフハっと吹き出した。
「すまんすまん、ビックリさせてしもうたな。」
「腰抜けちゃったよ…。」
「しゃあないなぁ。」
よっと、掛け声をかけて私の体を起こす。
未だに力の抜けた体はそのままゾムの厚い胸元に寄りかかり、とくんとくんと鳴るゾムの心音が聞こえた。
落ち着くなぁ…。
「もう怖くないか？」
「うん、でももうちょっとこのままで。」
そう言うとゾムは笑いながら肩をぎゅっと抱いてくれる。
煩いほどに跳ねていた鼓動がゆっくりと落ち着きを取り戻すのが分かった。
今日はこのまま眠りたい、ゾムが傍にいてくれるだけで幽霊だってへっちゃらだ。
「ねぇゾム、今日泊まってよ。」
「ええんか？明日も仕事やろ？」
「うん、でも今日はゾムといたいから…。」
ぎゅうとゾムの服を離さないとでもいうように握りしめる。
まるで子供みたいな私の行動にゾムはヒハっと笑いを零した後、ぶわっと体が持ち上げられた。
「きゃあ！」
「なら寝室に一名様ご案内〜！」
お姫様抱っこで抱えられた私の顔に、ゾムの髪からポタリと水滴が落ちる。
肩に掛けられたままのタオルを掴んで、乱暴にわしゃわしゃと髪を拭いてあげると嬉しそうに笑いながらしっかりとした足取りで寝室へと進む。
「ふふっゾムの髪ボサボサだよ？」
「Aのせいやん。」
「じゃあ責任取って明日の朝セットしてあげるよ。」
「お、ならもっと乱してくれてええで？」
にやりと笑って二人でベッドに倒れ込む。
ぷちぷちとボタンを外していくゾム、言われた通りその髪をぐしゃりとかき乱した。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - だいぶ前の小説にコメント失礼します。あなた様のエミさんの認識はどうなってるんですか…変態ですか……好きです｡｡｡｡｡｡｡ (2020年12月2日 22時) (
レス) id: 5e03690c33 (このIDを非表示/違反報告)
生真面目な炊飯器(プロフ) - あ、良かったーびっくりしたゾ（笑）というか見てますよ…！もう光の速さで短編集3へ飛んでったンゴ！そして幸せになりました(小並感) (2017年11月19日 9時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 生真面目な炊飯器さん» 垢間違えてました(笑)短編集３もできましたのでぜひ見て頂けると嬉しいですー！ (2017年11月19日 1時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
生真面目な炊飯器(プロフ) - 短編2までお疲れ様でした♪次は3ですか！楽しみだー（*＾＾*)心ぐるぐるっ待ち♪してます（笑）いつも素敵なお話ありがとうございます！ (2017年11月18日 6時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - ひらめさん» ひらめさんコメントありがとうございます！そして今まで気付いてなくてすみませんでした！(笑)シッマは難しいんですがコネシマスター達の為にもっと書けるように精進します！！今後も仲良くしてくださいね！！ (2017年11月15日 19時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
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