→続 ページ15
「マンちゃーん、ごめん開けてくれるー?」
紅茶とキッチンにあったお菓子を乗せたおぼんを両手で持ちながら扉に向かって声を掛ける。
ゆっくりと開かれた扉、ノブを持ちながらドアの淵に片手をついたマンちゃんが現れた。
海外ドラマの俳優のようだ。
ぽかんと口を開けて見上げる私にマンちゃんはにこりと笑って、私の手からおぼんを攫った。
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
なんだかドキドキする。
紳士な対応も、紅茶に口をつける姿も、まるで私の知らない人みたい。
「ところでマンちゃん今日はどうしたの?」
「ん〜ちょっとな。」
意味深に笑うマンちゃん。
だけどその目が笑っていないような気がした。
落ち着かない…。
優雅に紅茶を飲むマンちゃんはそれ以上何も言わないし。
「あの、マンちゃ――
〜〜〜♪
何か言わなきゃと思った瞬間に鳴り始めたスマホ。
ちらりとマンちゃんを見れば、片手でどうぞとジェスチャーをされてしまい出ないわけにはいかなくなった。
ごめん、と小さく頭を下げてから背を向けて友人からの着信に応答した。
「もしもし?」
『あ、出た。ねぇやっぱり来れないの?』
「来れない?…ってクラスのやつ?行けないよ、誘われてないもん。」
『嘘でしょ?だってオスマンくんがAは用事があるって言ってたよ?』
「え、何それ、私そんな事言ってない。」
信じられない友人の言葉にバッと振り返ると、いつの間にか真後ろに座っていたマンちゃんにビクリと肩が跳ねた。
「っな、何?近いよ…。」
ドクドクと心臓が鳴る。
何も言わないマンちゃんはただ笑うだけ。
変な汗がじわりと滲み始めると、スマホから友人の心配するような声が聞こえて慌ててスマホを持ち直した、その瞬間―――
「ごめんなぁAちゃんは俺と遊ぶから行かせられんねん。」
マンちゃんの手に奪われたスマホは放物線を描いてベッド放り投げられた。
そこからはもう友人の声は聞こえない。
じりじりと笑顔のまま迫って来るマンちゃんに、お尻をつきながら後退するも背中に壁が当たってそれ以上は進めない。
トン、とマンちゃんの両手が私の頭上の壁に付けられる。
これが壁ドンってやつ?でもあの、ときめくというよりなんか怖いんだけど…。
「さて、何して遊ぼうか。」
マンちゃんの影が私を包む。
ニヤリと笑い赤い舌でチロリと唇を舐めたマンちゃんの姿は、獲物を捕まえた捕食者のようだった。
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ことこ(ドS娘)(プロフ) - だいぶ前の小説にコメント失礼します。あなた様のエミさんの認識はどうなってるんですか…変態ですか……好きです。。。。。。。 (2020年12月2日 22時) (レス) id: 5e03690c33 (このIDを非表示/違反報告)
生真面目な炊飯器(プロフ) - あ、良かったーびっくりしたゾ(笑)というか見てますよ…!もう光の速さで短編集3へ飛んでったンゴ!そして幸せになりました(小並感) (2017年11月19日 9時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - 生真面目な炊飯器さん» 垢間違えてました(笑)短編集3もできましたのでぜひ見て頂けると嬉しいですー! (2017年11月19日 1時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
生真面目な炊飯器(プロフ) - 短編2までお疲れ様でした♪次は3ですか!楽しみだー(*^^*)心ぐるぐるっ待ち♪してます(笑)いつも素敵なお話ありがとうございます! (2017年11月18日 6時) (レス) id: b04e9ddf40 (このIDを非表示/違反報告)
ひとちん(プロフ) - ひらめさん» ひらめさんコメントありがとうございます!そして今まで気付いてなくてすみませんでした!(笑)シッマは難しいんですがコネシマスター達の為にもっと書けるように精進します!!今後も仲良くしてくださいね!! (2017年11月15日 19時) (レス) id: 5e55a572da (このIDを非表示/違反報告)
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