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愛しきヒトよ─ぬらside─ ページ24

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鯉伴に半強制的に着物をちゃんとしたものに変えさせられ、更にはAとの思い出の場所に突然連れてこられたぬらりひょん
一体会わせたい奴というのは誰だと言うのかと思いながら一人ぽつんとその場で待つことになっている



「たっく…
いきなりこんな所に引っ張り出してなんなんだってんだい」



とはいえ…



「ここに来るのは、いつぶりかのう…」



それすら分からなくなるほど、ワシはここには来ていなかったか



「………ここに来ると、あいつを思い出していかん」



脳裏を掠める、己の命よりも大切だった女
ふと横を見れば昔のようにそこにいるように見えてしまうほど、自分の目にも心にも、彼女が残っている

もう、何百年の時が経とうとしているのに



「…もう、あいつが居ないことに慣れざるを得ないほどの時が経ったが……」



それでも、ワシの心はあんたを求めてるようじゃ



ぬらりひょんは懐から女物の髪飾りを取りだした
それはAが息を引き取った時に着用していたもの



「我ながら女々しいのう」



こんなワシを見てあいつはなんと言うだろうか
とりあえず、いいことは言われないのはわかる



ワシはのんびりとそこから見える景色を見下ろした
昔Aと来た頃の面影はほとんど無くなったこの町
高層ビルが立ち並ぶ町だ

そう思うと彼女がこの世を去って大体どれくらいの時が経ったのだろうかとふと思った
数えることすらバカバカしくなるほどの長い時であることは分かってはいたが



「…あいつが亡くなってもう何百年経ったかのう…
あいつはこんなにも変わっちまった町を見て、なんて言うのやら」



風情のない、味気のない町だと言うかのう
鯉伴が戻ってきたらそれについて話し合ってみようか



「…………Aは、あっちで元気にやっとるかのう?」



あんたのことだ
元気じゃねぇってこたァねぇんだろうが…
あんたはずっと向こうからワシらを見守ってるんじゃろうか?

ただAがどんなことを思うのだろうか
どんな顔をするのだろうか
それを考えるだけでどこか楽しくて頬が緩む



と。その時だった



「あまりにもお前たちの馬鹿さ加減がが気がかりで、私はこの世に戻ってしまったわ」



突然、後ろから聞こえてきた声
その声がすぐ後ろから聞こえて、自分がこの距離になるまで気づかなかったことにも驚きだったが何よりもその声にドクリと心臓が鳴る



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(プロフ) - printemps(プランタン)さん» そうなんです。一応最強設定ではありますので…^^; (2020年5月21日 15時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - しろくまさん» ご期待に添えたようでよかったです(*^^*) (2020年5月21日 15時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)
printemps(プランタン)(プロフ) - もう知ってるけど、夢主最強説 (2020年5月17日 10時) (レス) id: a86d5a1323 (このIDを非表示/違反報告)
しろくま - 更新ありがとうございます!わぁ(*´▽`*)リクにお応えして下さりありがとうございます!めちゃくちゃ面白かったです笑 鴆様流石ですし、狒々のなんとも言えない子供感がたまらなかったです!楽しみに待ってます!更新頑張ってください! (2020年5月16日 20時) (レス) id: 4a9ec96a98 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 木乃伊さん» ありがとうございます!更新頑張りますね! (2020年5月16日 19時) (レス) id: 9e3e8858ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2020年3月21日 20時

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